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映画感想文「ザ・バイクライダーズ」古き良き時代の米国のバイク乗りの物語。過去への郷愁を誘う

自分とは何の接点もないストーリー。

それなのに響いた。なぜだろ。

1960年代半ば、バイク乗りが最高にカッコ良かった時代。米国シカゴのバイク乗りの物語。

普通の生活を送っていたキャシー(ジョディ・カマー)が、女友達に頼まれて訪ねたバーで出会ったベニー(オースティン・バトラー)と出会い恋に落ちる。

ベニーは危険も顧みない、どこかネジの飛んでしまってる、バイク乗り。地元のレーシングチーム「ヴァンダルズ」に所属してるが、群れることを嫌う孤高の人。それでも毎晩仲間たちと高速をバイクで飛ばし、バーに入り浸り、荒くれ者たちと飲んだくれケンカする日々。魅力的だが幼い、しょうもない男である。

レーシングチームのリーダーであるジョニー(トム・ハーディ)を父か兄のように慕っていた。チームはいわば彼の家族だった。

このベニーを中心にバイク乗りの狂乱と衰退を恋人だった女に語らせる、という独白形式がとても良い。そのジョディ・カマーをキラキラ女子設定でも色気ムンムンでもなく、いかにも田舎町にいそうな、弱いけど気丈で、美人なんだけど少しうらぶれた女って感じがリアルだ。

明るく自虐的で時にユーモアにも富んだ彼女の語りにより観るものを最後まで引っ張る。

若い頃の楽しかった仲間たち、そして過ち。いずれにしても決して元に戻れない。そんな誰もが持つ過去への普遍的な郷愁を誘う物語である。

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