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映画感想文「シチリア・サマー」美しいシチリアを堪能できる、少年達の恋物語

もはや、満腹感さえある、男性同士恋愛もの。そしてこれもまた実話を元にした作品。

1980年代イタリア、シチリア島。交通事故で偶然であった16歳と17歳の少年たち。すぐに打ち解け仲良くなるが、共に時間を過ごすうち、いつの間にか恋が芽生えていく。

しかし少年たちの恋は、カトリック総本山の当時のイタリアで許されるべくもなく。なんと、互いの家族も巻き込み、生きるか死ぬかの修羅場が展開されていく、という物語。

日本人には理解し難い宗教も絡み、本当に深刻だ。

他の様々な映画や本でも、カトリックの国での同性愛に対する風当たりの強さはよく語られている。

アダムとイブが出会い婚姻し家族を成す。という教義の根幹を覆すと捉え、ひどい仕打ちが多い。

でも、安心して欲しい。テーマは深刻な内容ながら、物語の9割は、のどかで美しい場面で綴られる。

豊かな自然に恵まれた島で生きる少年たちの生活が描かれ、心和む。そして恋に落ちていく様がキラキラと描かれ、フレッシュなときめきを貰える。

性別がどうであろうが、恋は美しく力強い。

なお、ひとりはシングルマザーに育てられた、1匹狼で意志の強い影ある少年。もうひとりは愛溢れる大家族の中で育ち、温和で誰もに好かれる明るい少年。

と、育ちもキャラも正反対。

どちらも美しいが、大家族の少年があまりにも誰に対しても無防備で前向きな太陽のような明るさで、とても印象に残った。

運を引き寄せるような態度が大谷翔平ばりに凄かった。

こんなふうに人と接する人になりたいと、少年に教えられた。当面、人と接する時に見本として彼を脳内に浮かべると思う(というくらい凄かった)。

よくできたラスト。考えさせられる。

シチリアの美しさを堪能したい人に。ときめきを感じたい人に。世の中の不を受け止めたい人に。向いた作品。

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