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映画感想文「シサム」江戸時代のアイヌと和人の物語。残忍だがこの歴史の上に今がある

こういう歴史があり、今がある。

見つめたくないことだけど。

江戸時代の北海道。南西にある松前藩は蝦夷(アイヌ)との交易を一手に引き受けていた。松前藩士の次男孝二郎(寛一郎)は典型的な次男坊で頼りないあまちゃん。周囲にもいつも心配される始末。ある日、頼れる兄の栄之助(三浦貴大)と共にアイヌとの交易に向かう。

ところが現地で兄にアクシデントが起きる。大怪我をおい、孝二郎はひとり蝦夷の地に残される。

という、次男坊の成長物語。

周囲の価値観を押し付けられ、それに支配されていた頼りない次男。彼が苦労を重ね見聞を深め、自我を持つに至るまでを丁寧に描く。

きっと、こうやって蝦夷の土地を征服してきたんだろうという悲しい歴史も垣間見え、なんだか切ない。

そして人間の醜い諍いとは別に、映される自然の姿、海や山や空の美しさに目を見張る。こんな中で争ってきた人間達。

でもその歴史の上にいまの私たちはいる。だから同罪と思うが2度と繰り返してはならない歴史だとしみじみ思う。

タイトルのシサムとは、日本人を表す、和人という意味だそう。

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