映画感想文「本を綴る」書けなくなったベストセラー作家が全国の本屋を訪ね自分を取り戻すまで
人はどこで躓くのだろう。
いや、躓きポイントは実は日常のあちこちにある。見えないところに静かに潜んでいる。
主人公の作家一ノ関哲弘(矢柴俊博)はベストセラー作家だった。でもある時、書けなくなった。
そこで、彼がしたことは全国の本屋を回ること。どんどん閉鎖していく廃れゆく本屋。そしてそこで働く人々。そんな人々との邂逅。それにより一ノ関は、徐々に自分が書けなくなった事件について受け止めていくのだった。
人は案外と、旅先で出会った一期一会の人に救われる。過去がない分、ゼロスタートできるから。そして2度と会わないため、ノーリスクだから。
だから近くにいる人の言葉より、何の繋がりもない「初めまして」の人に心を開く。
少しずつ自己を受け止めていく彼をみて、自分の人生にもあったそんな瞬間を思い起こした。
旅っていいな。
そして旅先で出会ったひとり、小料理屋の女将役の遠藤久美子。久しぶりにみた彼女がとっても美しく、ああ、いい人生送っているんだな、となんだかしみじみ感動した。
後味良き、素敵な映画でした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?