映画感想文「グランツーリスモ」ゲーマーが本物カーレーサーになる真実の物語。ムネアツ間違いなし
事実は小説よりも奇なり。
まさにそんな映画だ。
ドライビングゲーム「グランツーリスモ」に夢中のヤン・マーデンボローはイギリス郊外に住む19歳、大学を中退し、衣服販売店で売り子として働いている。
5歳の頃から「レーシングドライバーになりたい」が夢だったが、労働者階級の彼にはそんな資金も人脈もなかった。
しかしある日、チャンスが舞い込む。
ゲームのトッププレイヤーを本物のプロレーサーとして育成する「GTアカデミー」ができ、ゲームで最高点を叩き出した彼もそこに呼ばれたのだ。
前代未聞のプロジェクトにより、世界中から選りすぐりのトッププレイヤー達が集められ、心身ともに過酷な特訓がなされた。
その中で、車の運転もほとんどしたことのないヤンはメキメキと頭角を表し、ついにデビュー戦を迎える。
なんと、この「ゲームのトッププレイヤーを実際のカーレースで走らせる」は実際に2008年から2016年にかけて日産とポリフォニー・デジタル(ソニーが出資してるゲームソフトの開発会社)が行っていた、プロジェクトである。
この「グランツーリスモ」というシュミレーションゲームは日本の技術が誇る世界大ヒット作であり、プロジェクトは日本企業が関わってるのだ。
そして主人公のヤンはこのプロジェクトから生まれた実在するプロドライバーである。既にレース200戦を走っており、この映画にもスタントドライバーとして、参加している。
信じられないほんとの話。なんとも、夢がある話ではないか。
将来に夢を持てずニートだったヤンはスポーツで奨学金をもらう優秀な弟の影に隠れ家族でも居場所がなかった。息子の未来を心配する父親からは「ゲームばかりしていて」といつも叱られていた。
その様子は、大なり小なり誰しも心当たりのある成長期における親子の確執だ。
また彼を徹底的に鍛える鬼教官のジャックは挫折した元F1レーサーであり、彼の悲願も背負い、ヤンは走る。
そんな師弟関係も熱い。
ということで、誰しも心震わすドラマ要素が満載。そしてハラハラドキドキのカーレースは臨場感に溢れ心踊る。
デートムービーにも、仲間うちのみんなで映画観に行こうぜにも、最適な汎用性高い映画。ぜひ大きなスクリーンの音響のよい映画館で。
(余談)ちょい役で登場するオーランド・ブルームの華やかさがすごい。演技が大袈裟なわけでもなく突拍子ないことを演じてる訳でもないのに、彼が登場すると画面がぱっと明るくなる感じ。ハリウッドスターってやっぱり演技うまいだけでなく、華がある人たちなんだなーをしみじみ感じた。