いまが旬、おばあちゃんアイドル
嘘だと思うなら、最寄りの書店を訪ねて欲しい。
住民年齢層が比較的高い住宅地の駅前本屋には数年前から「102歳ひとり暮らし、心も体も錆びない生き方〜」「87歳、団地で楽しむ一人暮らし〜」など、幸せそうに微笑むシニア女性が表紙の本が色とりどりに並んでる。
いまや、この界隈、ひとり暮らしのおばあちゃんの生き方本、はヒット本テーマなんだと気付かされる。
これはそんな意気軒昂な92歳のマダムと1日を過ごすことになった中年のタクシー運転手が、その出会によって人生を変えていくというフランス映画。
老人ホームに入居することになったマダムが最後に思い出を訪ね、パリのあちこちを巡る。そこで語られる彼女の人生はこの100年で最も変化があったであろう「女性史」にもなっており、非常に感慨深い。またタクシーが巡るパリの街の風景が美しく、旅に飢えた身には目の保養だ。
マダム役を演じる女優はフランスの国民的シャンソン歌手で実際に90代。いや、ほんとに?!とびっくりする、凛とした佇まいと貫禄、そして垣間見えるチャーミングさに圧倒される。
こんな90代になれるなら100まで生きるのも楽しそうだ。