映画感想文「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」人として大切なことが詰まった愛すべき作品
不完全なところが完全。
という、摩訶不思議な魅力のドイツ映画。
至る所にツッコミどころ満載、登場人物は、はちゃめちゃ。決して完璧な人間ではない。むしろダメダメだったりする。だけどそこが、不思議と心を掴む。
余命宣告を受け、末期病棟で同室になった正反対の2人。ルールに従わない自分勝手なアウトローマーチン。気弱で真面目な品行方正なルディ。
水と油で混ざり合うことのない2人が意気投合。死ぬまでに海を見たいと一緒に病院を抜け出し、盗んだベンツで旅に出る。
いろいろダメな2人だが、侘び寂びが理解できるところが素晴らしい。乱暴な言葉遣いでもちゃんと相手の気持ちを慮れる。最終的に人としていちばん大切なことは、そういうことだと思う。それは理屈を超えてチャーミングだ。
1997年公開の映画。公開直後に当時の彼氏が絶賛してて一緒にレンタルビデオを借りてみた。でもその時の私は理解できなかった。ポップでスタイリッシュだけど愚かな人たちだと感じた。
愚かなのは私の方であった。
それがいまわかる情けなさよ。自分の残念さを25年経て理解する。
人として大切なことがいっぱい詰まった愛すべき作品。時代を超えて心に響く。
そして音楽が最高。ロックでカッコよし。
いちどは見ることをお勧めしたい。