肥料によるリスク。硝酸イオンの摂取上限は簡単に超える。
皆さんはオーガニックや無農薬野菜は十分に安全だと思いますか?
健康や環境への配慮から、有機栽培やオーガニックが注目を集めていますが、実はそれだけでは不十分かもしれません。
なぜなら、肥料による害があるからです。
今回は、そんな見落とされがちな肥料による害として、硝酸イオンのリスクについての話です。
肥料には硝酸態窒素という物質が含まれており、それは植物に吸収される時、無機化された硝酸イオン(硝酸塩)に変化します。この硝酸イオンは肥料を過剰に投与すると植物体内に残留し、人体に取り込まれると悪影響があると考えられています。
そこで、4つのポイントに分けて硝酸イオンによるリスクとそのリスク回避について書きました。
1,硝酸イオン(硝酸塩)による悪影響、2,どのくらいの野菜からどのくらいの硝酸イオンを摂取しているのか、3,硝酸イオンの摂取量は減らしたほうが良い、4,無肥料栽培の野菜を食べよう!
最後にまとめです。
1,硝酸イオンによる悪影響
硝酸イオン( 硝酸塩) は 食品添加物( 硝酸ナトリウムおよび硝酸カリウム)として認められていますが、体内で還元されて亜硝酸イオンに変化すると人体に悪影響を及ぼすします。具体的には、呼吸阻害症の1つであるメトヘモグロビン血症の原因となったり、発ガン性物質であるニトロソ化合物に変化する可能性があるとも一部で指摘されています。
食物由来の硝酸イオンのうちどの程度亜硝酸イオンに転換されるのかは、明確でありませんが、摂取したおおよそ5%が亜硝酸イオンに変化するという報告もあります。そこで、その摂取量は少ない方が望ましいとして、FAO/WHO合同食品添加物専門家会合(JECFA)では1995年に添加物である硝酸ナトリウムの1日許容摂取量(ADI)を体重 1kg当たり5mg(硝酸イオンとして3.7mg)としました。
日本人の平均体重から計算すると、1日あたり3.7mg×50kg(体重)=185mgまでは硝酸イオンを摂取しても許容できると考えられます。
1997年EUではこのADI(3.7mg)をもとに、ホウレンソウおよびレタス、サラダ菜類について硝酸イオン含有量の上限値を定めました。しかしJECFAは「野菜は様々な機能性を有しており、これから摂取する硝酸イオンの量と添加物由来の硝酸イオンに対して定めている ADIを直接比較したり、これをもとに野菜の硝酸イオンの上限値を設定することは適切でない」との見解を示しています。従って現時点日本では野菜中の硝酸イオン濃度の上限値を定めることは困難であると考えられています。
しかし、現在日本で生産されている野菜、特に葉菜類の硝酸イオン濃度は比較的高い傾向にあります。 ヒトにとって硝酸イオンは摂取する必要はなく 、野菜中の硝酸イオン濃度を低く抑えることは、より安心であることは間違いということは言えそうです。
硝酸イオンによる代表的な大惨事として1956年にアメリカで起こったブルーベビー事件があります。
この事件の原因は、硝酸イオンを多く含んだほうれん草を赤ちゃんが食べたことだとよく言われていますが、一方で、高濃度の硝酸イオンを含んだ水道水が原因だったとの見解もあります。
また、大量に使用された化学肥料が地下浸透し、高濃度の硝酸イオンを含んだ生活用水の井戸水で作ったミルクを飲むことで、中毒が起こった例は日本でもあります。その後、全米で1060の症例が報告され、83の論文に死亡例が出ていることも、軽視できません。
いずれにせよ、肥料に含まれる硝酸態窒素は害があると言えます。それは野菜経由か水経由かはわかりませんが巡り巡って私達の元に帰ってくるのです。
2,どのくらいの野菜からどのくらいの硝酸イオンを摂取しているのか
そこで、どのくらいの野菜からどのくらいの硝酸イオンを摂取しているのかを把握することでその摂取量をある程度コントロールできるのではないかと、私は考えました。
日本のほうれん草に含まれる硝酸イオンの標準値は2000mg NO₃-/kg
よってほうれん草1袋(約180g)だと
360mgの硝酸イオンが含まれていると考えられます。
1gに2mgの硝酸イオンが含まれるので、180g×2mg=360mgという計算。
茹でると3~4割ほどの硝酸イオンが削減できるらしいのでこれを参考に、ほうれん草180gを食べると360mg×0.6(4割減と仮定)=216mgの硝酸イオンを摂取することになるでしょう。
WHO が定める、1 日の許容摂取量(ADI)は=体重1㎏に対して 3.7mg。
日本人の標準体重を 50 ㎏とすると、3.7mg×50 ㎏=185mg となります。
人が摂取する硝酸イオンのうち90%は野菜からとっているそうなので、
185mg×0.9=166.5mg
これが1日に野菜から摂取しても良い硝酸イオンの量と言えます。
あれ…180gのほうれん草を茹でて食べると216mgの硝酸イオンを摂取することになるとさっき計算で出しましたよね…ということは166.5mgを簡単に超えてしまっている(;^ω^)
これが今の私達が置かれている現状でした。
硝酸イオンの摂取量は減らしたほうが良い
気をつけないと、私達は日常の生活において簡単に硝酸イオンを摂取しすぎてしまうようです。
特に、健康志向で1日に食べる野菜の量が多い人ほどその傾向にあるかもしれないですよね。
実際に、緑色の濃い野菜は栄養が豊富だからと、健康に配慮してそのような野菜を多く摂取し続けた結果、全身にポリープのような腫瘍ができてしまう病気になってしまったという方を私は知っています。その方の実家は八百屋さんだったらしく、大きくて緑色の濃い野菜ほど良いものだと思ってたくさんお店にもおいていたし、それを食べて育ったそうです。病気とこの状況の直接的な因果関係は正直わかりませんが、その方はこれが原因の一つだったとも考えていらっしゃいます。(緑色の濃い野菜は、硝酸イオンが多く残留していると言われています。)
つまり、せっかく健康のために野菜をたくさん食べていても、その野菜がどんな野菜なのか。その中身が悪ければかえって健康を害していまうとも考えられます。
では、どんな野菜を食べようか…?
オーガニックの野菜でいいのか?
ちなみに、有機栽培、オーガニック栽培では、無農薬ですが家畜の糞尿などの有機肥料を使用します。
これまでは、健康に配慮するにあたって無農薬であることに意味があり、肥料の使用有無は注目されてこなかったかもしれません。しかし、ここまでの記述でそれでは不十分だと気づいていただけたでしょうか。
本当に体に優しい野菜選びをするならば、無肥料無農薬で育った自然栽培や自然農の野菜をおすすめしたいです。
無肥料栽培の野菜を食べよう!
過剰な肥料の投与によって野菜に残留したり、土壌から地下水に滲み出したりした硝酸イオンは人体に悪影響であると言えます。
そこで、注目したいのが無肥料栽培。
肥料を使わなければ農薬も不要となってくるのです。
なぜなら、野菜の残留窒素に害虫が寄ってくるので、そもそも肥料を投与しなければ農薬も出番がないという関係性にあるからです。
つまり、無肥料無農薬栽培が実現します。
それが自然栽培や自然農と言われている農法です。
では、これらの農法では、作物はどこから栄養を得るのか。それは、土壌の微生物の働きによって土壌に蓄えられた栄養によって育つのです。
森や山の植物たちが無肥料無農薬で立派に育っているのと同じ仕組みです。
その環境を畑に再現する。
この栽培方法で育った野菜は、収穫後日持ちもするらしいです。
実際に私もそれは感じています。1週間前に収穫した自然農畑の野菜は今も新鮮です。
更に、肥料農薬を使って育てた野菜は最終的にどろどろになって腐るりますが、自然栽培の野菜は腐らずに枯れます。
よくよく考えると、植物とはかれるものであり、それが自然な姿ですよね。
それがどろどろになって腐るってそっちのほうが異常で不自然です。気持ちが悪い(・・;)
まとめ
この記事を読んで、皆さんの体に良い野菜を選ぶ基準に新たに無肥料栽培であるということが加わったなら幸いです。
とはいっても、無肥料無農薬の野菜はまだまだ数が少なく身近ではないかもしれません。
しかし今、このような野菜の普及、販路拡大プロジェクトも存在しています。
ネットでも、このような野菜を販売されえている自然栽培農家さんは増えてきています。
買い物は投票です。
無肥料無農薬の野菜を買う人が多ければ多いほどそれは普及していきます。
皆さんが普段のお買い物で何を選ぶのか。それは社会のあり方を買えうる影響力があると思います。
そんなことを頭の片隅において、ぜひ健康のためにも無肥料無農薬、自然栽培の野菜を多くの人に食べてほしいです。