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『アンパンマンが好きだ』

「アンパンマンが好きだ」

この言葉には二通りの意味がある。

小さい頃は文字通り、『アンパンマン』というキャラクターが好きだった。
優しいし、空も飛べるし、とにかく強い。
なによりあの、あんこがたっぷり詰まった美味しそうな顔。
一度は食べてみたいと、憧れたものだった。

でも、大人になった今は少し変わって
アンパンマンの生きる世界』が好き、になった。

アンパンマンの世界では、生まれたその瞬間から自分の役割がはっきりと決められている。
生まれた瞬間から、天丼の人もいるし、かつ丼の人もいれば、釜めしの人もいる。
食パンの人もいるし、カレーパンの人もいる。

彼らは願っても別の何かにはなれない。

でも、彼らは、自らの運命を嘆くことはなく、誰かを妬むことも、羨むこともない。
みんな、自分の生まれ持った役割に誇りを持っている。
自分の生きる道こそNO.1と本気で信じている。

たまに、どちらのほうが優れている、などと言い合いをすることもあるが、決して相手を否定したりはしない。

彼らの世界には、ばい菌やカビなんかもいるが、ばい菌だから、カビだから、という理由で避けたり嫌ったりはしない。

パンのほうが立場が上、ばい菌だから立場が下、ということはなく、彼らの世界では、皆が対等だ。

パンがお喋りをする世界で、なぜだか言葉をしゃべれない犬がいたり、骨格標本のような見た目をしたやつもいるが、それを笑ったり、馬鹿にしたりは絶対にしない。

アンパンマンの世界は、みんな違って当たり前という世界なのだ。

自分と同じ見た目をした者は存在しないし、自分と同じ性質、体質を持った者もいない。
だからこそ、否定したり、否定されたりすることがない。
そんなことをしていればキリがない。

自分に出来ないことがあれば、それが得意な人に頼ればいいし、逆に自分が得意なことは、力を惜しむことなくしてあげればいい。

彼らの世界はそうやって回っている。

アンパンマンの世界は、愛と勇気とやさしさで溢れている。

そんな素敵な世界を作り出した『やなせたかし』は、すごい。

すごいと言えば、おなじみ『アンパンマンのマーチ』。
この歌詞もやっぱりすごい。
冒頭の歌詞がとにかく沁みるのだ。

(1番)
"なんのために 生まれて
 なにをして 生きるのか
 こたえられないなんて
 そんなのは いやだ!"
(2番)
"なにが君の しあわせ
 なにをして よろこぶ
 わからないまま おわる
 そんなのは いやだ!"

年を重ねれば重ねるほど、その奥深い魅力に気付かされる。

『アンパンマン』大好きだ。

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