彩瀬まる『骨を彩る』/読書感想文
この人の書く文章が好きすぎて、
本が付箋でいっぱいになった。
本当は、
この文章を愛おしいと思う気持ちと、
百均で5束110円で売られている付箋の1枚を貼るという行為の大きさとでは、釣り合いが到底とれないから、付箋をはるたびに胸が小さく痛む。
けれど、その時私はそれ以上、なすすべがなくて、
そして次の文が読みたくて、とにかくピッと一枚付箋を貼って前に進む。
今月の課題図書に選んだのは、
彩瀬まる『骨を彩る』でした。
メンバーシップcafe de 読書をはじめて、
メンバーの方に本を紹介してもらって、
たくさんの本との出会いがありました。
櫻夏0870さんに、紹介してもらったのが綾瀬まる作品でした。
『骨を彩る』は、小さな物語が一つ一つ緩やかにつながっている小説です。
誰一人傷つけないような優しくて繊細な顔をした文章で、
するする読めてしまうのに、
胸のあちこちをズキっとついてくる不思議な感覚でした。
一番感情移入してしまったのは、
3番目の章の『ばらばら』なのですが、
あまりに自分に環境も近いし、感情の方が暴走してしまいそうで、
うまく文章にできそうにないので、
今回は感想を書けませんでした。
逃げだけど、ちょっとまだ、もうちょっと、
自分の中で消化させてほしいです。
1つ目の『指のたより』と、
最後の『やわらかい骨』について感想を書こうと思います。
✴︎
主人公津村の妻・朝子は、十年前に大腸がんで亡くなった。享年は29歳。
その妻が久しぶりに津村の夢に出てきたところから、物語は始まる。
「誰もわかってくれない」という文字をノートに書き記して死んだ妻。
津村は、その事実を妻が死んでから知り、負い目を感じている。
何かもっとしてあげられることがあったのではないか。
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