2023.08.08 捨てられたコトバと確かなイカリ
駅のトイレで用を済まして、洗面台で手を洗おうと少しだけ背中をまるめて目線を落とすと、鏡の前の台に名刺ほどの一枚の紙が置いてあった。
そこには青いマジックペンで
「健康保険証の
廃止反対!」
とぎりぎり読める文字で書いてあった。
ちらっとみてやり過ごそうとしたが、ふとそこに確かにあった誰かの怒りを感じた。
その言葉は頭で考えられたものではなく、イメージから来る反射的な不安や恐怖の応答として、染みこみやすい不特定の多数のコトバのように思える。形だけのそのコトバは、数多ある