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今年最後の夕暮れ

ふと見上げた空は、今年最後の茜色の空だった。

僕はその綺麗さに打ちのめされた。
時間がないのに空に心を奪われて
たった数秒、時が止まったかのように空を見上げる。

少しだけ、届きそうな空だな、と、感じた。
思い違いだけれど、なぜかとても、届きそうで
手を伸ばそうとして、ちょっとだけ動いた指先。
カラダとココロが一致して始動する行動。
でも、やっぱり、届くことはなくて。

どうしようもない感情と共に、ただただ魅了された。
あの空のグラデーションを、僕は大切にしたい。
忘れてしまうものが世の中にはたくさんあるけれど
誰かが忘れてしまうことを、僕は大切にしたい。

そう、強く願い、見上げた空を目に焼き付けて
僕は車に乗った。



年の瀬は時間ができるので、何かと忙しくなる。
普段できなかった断捨離をしたり
年末年始を家で過ごすための買い物
年賀状というのは、いまは出さなくなったけれど
この時期のわずかな休みというだけで、急にやることは増える。

12月30日から仕事は休みだった。
三が日までの、5日間。

例年、年末休みが長い業界にいたので
ここまで長く働いて、年明けに早く始動するのは初めてになる。

数日前から痛めた右手首がつらい。
腱鞘炎だと思う。
この1年、ずっとリモートワークで酷使し続けた結果だ。
初めての腕の痛みに
今まで自分は大したデスクワークをしてこなかったのかと思う。

今年一年を振り返る人たちの記事を読みながら
自分にはそんな中身のある一年を過ごしていないことに気付く。

一年をしっかり覚えているわけではなくて
良い一年だったのか、そうではなかったのかの評価も難しい。

区切りは必要だと思うけれど
来年の2024年も、2023年の連続の中にあるから
何かが大きく変わることもなく
ただ、2023年に「やらざるを得ない」とハッキリしたことに対して
僕は余計なことをすべて捨ててアプローチしていくと決めた。

すべては「行動するか、しないか」だ。


行動している人は、みんなやっている。
それ以外のいろんな要素に目を向けたくなるけれど
その「行動」ができていない人がとやかく言えることなんて
なにひとつ無いんだという事実に、打ちのめされて。

僕の選択肢は「全力で、即行動」というシンプルなものになった。

それに気付いたのが11月。
ほんとうに繰り返しになるけれど
文学フリマに直感を信じて参加して良かった。

あれが無ければ僕は今頃も安心安全を第一にして
心の問題を理由に動くことはしなかっただろう。

だから、打ちのめされて良かった。
それはそれで苦しさもあったけれど
「良いじゃないか、自分は自分で」と、言い聞かせている。


2023年の1月から5月は
そういえば密かに、本作りをしていた。
出版社時代から縁のある大手印刷所とやり取りをして
数百冊のロットに、うん十万の印刷代。
まるで現役編集者だった時に見た見積もりの額。
すごい規模で、本気で出版社通さずに本を作ったんだな、と。

ものすごい熱量を帯びた物語の本は
6月から順次、予約してくれている人に届いていると
著者のSNSや本人とのメッセージで聞いている。

誰かひとりにでも、何かひとつ、届くといいな。


思い当たる「何かやった」は、その本づくりだけか。

あとは、8月から始めたランニングだ。
体重が80キロ以上あった。
身体が重くて、心も重くて
僕はそれが、いろいろなモノに縛られていると感じた。

本づくりを共にした著者からは
「自分の在りたい姿を大事にした方がいいよ」
そう言われていたことを強く思い出して
僕は「自分はこんなんじゃない」という想いで
痩せるためにランニングを始めた。

8月末。
ランニングシューズとかウェア一式をぜんぶ揃えて
真夏の暑い空の下で、走り出す。

走り出して数十秒。
おかしい。
明らかに息が切れる。
というか、秒速で足が痛い。
身体がとにかく重くて、動かない。

僕は50メートルすら継続して走ることができなかった。
それには本当に絶望した。
こんなに運動できない身体になってしまったのか、と。
ここでも僕は、打ちのめされたんだ。

ランニングは諦めた。
そもそもの目的は「理想の自分を取り戻すこと」で
ランニングは手段でしかなかったのだ。
だから、まずは段階を踏むことにした。

「毎朝外に出る」→「運動に慣れる」→「毎日1万歩歩く」→「ジョギング」→「ランニング」

最終的には走れたらいいけれど、そんなことは結果論でしかない。
「できない自分は、どうすべきか」を考え
細分化した行動をひとつずつクリアするようにした。

細かく言うといろいろあったけれど
9月中には下記に慣れることができた。
「毎朝外に出る」→「運動に慣れる」→「毎日1万歩歩く」
この1か月で4キロ痩せる。

次の10月は下記に移行した。
「毎朝外に出る」→「運動に慣れる」→「毎日1万歩歩く」→「ジョギング」
この1か月でも3キロ痩せる。
ここまでで、すでに7キロ体重が落ちた。
もちろんこれは、投げ出すこともできた日の連続だけれど
僕はていねいに、粘り強く、諦めなかった。

仕事しながら平日も、時には週7で外に出て、毎日8キロ歩いたり走ったり。
ここまで頑張れたのは
どうしても「在りたい自分になりたかった」から。

体重が落ちてきて、身体が軽くなったものあるのか。
とうとう遅いスピードではあるけれど、ランニングができるようになった。
それが、10月の後半。
11月はほとんどランニングばかりだったけれど
季節が移ろい、寒くなってきたのもあって
ランニング自体ができなくなってしまった。

ただ、気がつけば体重は
あの8月の重たかった身体と比べて
とうとう約10キロ落ちていた。

ランニングも、50メートル走るのがやっとだったのに対して
10キロ弱くらいなら、時間をかければ継続して止まらずに走れるようになった。

この事実は、ものすごい進歩だと思う。
「こんな自分でも、やればできる」というコトの証明。

これもそう。
やらなければ、何も変わらない。
「行動しなければ、何も動かない」ということ。

それを、自分の身体を通して、知った。


思えばそのランニングから得た「体験」後に
訪れた文学フリマで打ちのめされたからこそ
僕は「やるしかない」と思えたのかもしれない。

そういう流れだったのかな、と。

「運動は、運を引き寄せる」と言う。
運動し始めたことによって、運を引き寄せて
何年も停滞していた自分に、キッカケができたのかな。


この流れも、いつ止まるかわからない。
そういう怖さは、いつだって抱えているし
考えるなと言われても、よぎる瞬間が必ずある。

ただ、それに「良い悪い」と評価をして
蓋をするんじゃなくて
「そういう感情もあるよね」って
自分の中で寄り添えるといいのかな、と。


2023年もお疲れ様でした。
いろいろあったよね、それはさ。
結局「何もない」とか言っておいて
いざ書き出したら止まらないものです。

「書きたい」
「表現したい」
を、思い出せてよかった。

年の瀬の今日はゆっくりする
なんてことにはなりません。

僕はもう「行動する」と決めたから。

このあと、10時から早速オンラインで打合せ。
来年に向けて、自分がやりたい表現をするために。
来年はこの場で、その表現をしていく過程を
なるべく書いていこうと思う。

あの日、出展していた人たちと
同じ側に並べるようになるためにも。

いや、それは、キッカケでしかなくて
ここから進む先が、変わるかもしれないけれど
とにかく進むと決めたのだから

あとはもう、すべて気にすることなく
圧倒的に、自分らしく、在るだけ。

打合せが終わったあとも
今日は一日、ゴリゴリ書こうと思う。
とにかく、徹底的に、カタチにしていく。

ただ、そう、やるだけ。


こんな文章に最後まで付き合ってくれた稀有な方
ほんとうに、ありがとう。

来年はちょっと、面白いことをしますので
よかったらお付き合いください。

まぁ、ほとんど、いないか。
では、良いお年を。

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