自分に「余白」をつくる場所〜日本庭園〜
くるくると繰り返す日々に疲れると、日本庭園に行きたくなる。
喧騒から離れ、人の密度が少なく、日頃目にする景色とは遠く、緑に囲まれ、囲われているのに不思議な広がりを感じる。
じゃりじゃりと石を足裏に感じ、時折身体のバランスを崩しそうになりながら歩く。
2月上旬に、小石川後楽園に行った。
以前、紅葉を見に行った時、梅の季節にまた来たいと思ったのだ。
小石川後楽園
江戸時代初期、寛永6年(1629年)に水戸徳川家の祖である頼房が、江戸の中屋敷(後に上屋敷となる。)の庭として造ったもので、二代藩主の光圀の代に完成した庭園です。光圀は作庭に際し、明の儒学者である朱舜水の意見をとり入れ、中国の教え「(士はまさに)天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」から「後楽園」と名づけられました。
東京都公園協会HP「庭園へ行こう。」より
四季がある、というのはとても素敵なことで、同じ場所でも、こんな風に変化がある。
2017年12月撮影
2020年2月撮影
あまり、伝わらないかもしれないが、寒々としていた梅林が、華やかに色づいていた。
もっとちゃんとアングルに拘ればよかったかしら。
白、紅以外にも、薄ピンクや黄色がかったものなど、様々な梅が花を咲かせていた。
小石川後楽園は、円月橋がやはり好きだ。何度見てもいい。
都内にありながら、鳥の鳴き声と水のせせらぎにひたることもできた。
もうこれだけで、生き返る、って感じだ。
梅以外の花も、たくさん。
小高い山に登っていくような道もあり、思いがけず体力を使う。
物理的に視野が高くなると、気持ちいい。
馬鹿なのかもしれない。
椿に吸い寄せられカメラを構えると、ガサゴソと葉が揺れる。驚いて見やると、花の蜜を吸う、ヒヨドリ。
自然のものは、美しい。
私はそう思う。
庭園は人が作り維持しているものだけど、それでもやはりそこにあるものは綺麗だ。
砂利や、石段でぐらぐら揺れることで私のくだらない、しかしこれでも必死な、日々の澱が、静かに沈んでいくのだろうか。
庭園をぼんやり歩きまわると、身も心もぽっかりと、ほどよく疲れて、自分にいい感じの「余白」ができる気がする。
帰りは、丸の内線で隣駅にある和菓子屋「一幸庵」へ。
わらび餅が有名だが、私はここの椿餅が好きだ。なんと源氏物語にも出てくるお菓子だという。マシュマロのようにふわっふわのお餅が何度食べても、衝撃。柔らかさの攻撃。年に一度は口にしないとおさまらない。
日常と、新型ウイルス騒ぎの非日常とで疲れると、あの日のことを思い出す。
こういう場所を、いくつか持っておくと寿命がのびる。
たぶんね。
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