「大人になるってつまらない」と思ったら観て欲しい映画『ARIA The CREPUSCOLO』
『ARIA』の好きなところは、日常のなかにある「素敵」の発見を通して、観る人の感性をひらいてくれるところだ。
誰かのことを大切に想ったり、綺麗なものを綺麗と感じたり、ちいさな発見に喜んだり。観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に、ゴンドラで観光案内を行うウンディーネたちを中心とした、そんな「素敵」をごく自然に行なっている人々の物語だ。
『ARIA』をみると、自分の中の眠っていた感性がほわっと開く。いっぱいいっぱいになっていた心が、ゆっくりとほぐれていく。
そして、ひとかどの人物でなくても、大きな事件が起こらなくても、何気ない日々がきらきらしたものであったのだと、切なさもまた、大切なものがあった証なのだと、世界が輝いて見え始めるのだ。
そうして、『ARIA』を見る前の自分より、少ししあわせに過ごせるようになる。
ふんわりやわらかい作品の雰囲気もとても好きだ。
今月公開された映画『ARIA The CREPUSCOLO』も、私の好きな『ARIA』そのものだった。
前回の映画で、お茶会に来ることのできなかったアテナ。今回は、アテナとアリスちゃんが出会うことはできるのか。
今回はオレンジぷらねっとが中心の話だけれども、他のキャラクターも万遍なく登場し、やはりみんな素敵で、誠実で、かっこよくて、やさしい。
それぞれ、自分はなぜここに居るんだろうと悩んだり、大切な人とすれ違ってしまったり、いい先輩になれないと悩んだり、怒らせちゃったかなと勘違いしたり。
心に響くシーンが沢山あったけど、わたしは特に「大人になるって、でっかいつまらないです」と言うアリスちゃんのエピソードが好き。
大人になると、新たな発見が減って、同じ日々を繰り返すばかり。
小さい頃憧れていた物語も、作り話だとわかってしまっているし。知識と経験が増えた分、「わくわく」が減ってしまう。
でもね、とアテナは言う。
その続きは劇場で確かめて欲しい。
しっかり者で天才と名高く、年齢の割に大人びているけれど、時折真面目すぎて思い詰めてしまう不器用なアリス(緑髪の子)と、繊細に気がつくのだけれどドジっ子で、でも真っ直ぐな先輩アテナ(ピンクのウェーブロングヘア)の2人が愛おしい。
アリア社長とまぁ社長がかわいくて、永遠にみていたい気分。そしてああ、アリシアさんと結婚したい。
それは叶わぬ望みだとしても、せめて同じ街に住み、たまにその素敵なお姿を拝見したい。
ああ、ネオ・ヴェネツィアに住みたい………。
『ARIA』を観たら、多くの人がそう思うのではないだろうか。
ネオ・ヴェネツィアは建物も自然もとても綺麗なところだけれど、それだけではなくて、そこに住む人々の心がやさしさとわくわくに満ちているから、より一層素敵な場所に見えるのだろう。
人と気軽に会えないこのご時世で、人々が互いを思いやり、やわらかく、優しく、誠実に向き合って、日々を紡いでいる姿に心打たれた。
長い人生に堪えるには、定期的に『ARIA』に触れて、感性をひらくことが必要かもしれない。
次はなにが起こるんだろう。
次回作もたのしみ!
前回の映画『ARIA The AVVENIRE』は各種動画サービスで配信されているので、よかったらご覧ください。
前作を観たらより楽しめますが、観ていなくても楽しめる映画でしたよ。
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