見出し画像

労働基準法34条1項で法律解釈技法を考えてみる。

労働基準法34条1項によれば、労働時間が6時間を超える場合には、使用者はその途中に休憩時間を45分間与えなくてはならない。

この規定を反対解釈すれば、労働時間が6時間を超えない場合には使用者は休憩を与えなくても良い、という事になりそうである。

しかし、はたしてそれで妥当な結論が導き出せるだろうか。

例えば、労働時間が5時間59分間だった場合には休憩を与えなくて、本当に良いのだろうか。

たった1分間の違いで、45分間の休憩の有無が決まる。

そんなバカな話はない。

では、どのように労働時間が5時間59分の労働者に対して休憩を付与するべき法的義務を使用者に認めるか。

そこで登場するのが条文の趣旨である。

私見だが、労働基準法34条1項の趣旨は、相当程度長い時間労働させられた労働者に休憩を認めるべき事を使用者に義務付ける事により、もって労働者の心身の健康に配慮し、その人たるに値する生活を営む事ができるように保障する点にある(労働基準法1条1項参照)。

かかる趣旨からすれば、6時間というのは一つの目安にすぎず、労働時間が6時間に達していなくても、労働者の心身の健康の観点から当該労働者にとって相当程度長時間の労働をさせた場合には、使用者は休憩を与えるべき義務を負うと考えるべきである(労働基準法34条1項類推解釈)。

その判断にあたっては、労働時間の長さ、労働環境、当該労働者の年齢や性別、疾患の有無、その他諸般の事情を総合考慮すべきである。

以下、具体的事案にあてはめる…。

こんな感じで法律を解釈して、妥当な結論を導き出すのが法律家の仕事だと思っている。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

良ければスキとフォローお願いします。

以上。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?