坂之上ジェニファー太郎

ブラスバンドコンディショナー3級

坂之上ジェニファー太郎

ブラスバンドコンディショナー3級

最近の記事

リハーサルについて

普段のリハーサルをどのように進めるのがもっとも効果的なのか? それは常に指揮者を悩ませる問題だろう。もちろん正解はないし、凄まじい数のアプローチがある。 日本のブラスバンドで毎回のリハーサルに指揮者が指導にあたることはそう多くないように思える。指揮者指導者がおいでにならないときは団員が代振りしたりするのがよくある。私もしばしば矢面に立たされる。そんな私がイギリスのバンドリハーサルで感じたことや、海外のトピックでの議論で得た情報をここに書き留める。 どこの国のブラスバンドでも

    • ブラスバンドコンサートのマイキング

       お世話になっております。  皆様ブラスバンドのコンサートでホールの吊りマイク録音を使用していると思います。イギリスやヨーロッパの録音と聞き比べて立体感や解像度に違いがあるなと思ったことはありませんか?私はあります。もちろんホールの響きまで一体的に録るというのがオーケストラや吹奏楽では多く、イギリスを始めとしたブラスバンドのコンサートやコンテストの録音は音源までの距離が近く、直接音の割合を多く取り入れています。  少々昔に某欧州のトップバンドのコンサート録音を聴きました。それ

      • ブラスバンドの金管セクションの役割

         打楽器の役割やらなんやらは前回書いたので、今回は金管セクションの役割をパート別に書く。  ブラスバンドの金管セクションはフロントローコルネット、バックローコルネット、ホーン、ユーフォバリ、トロンボーン、ベースに分かれる。そしてスタンダードな座席配置においては一番聴衆側にバンドサウンドへの影響力の強いソプラノ、プリンシパルコルネット、プリンシパルユーフォニアム、トロンボーンが配置される。プリンシパルコルネットはバンドの左側をリードし、左側の奏者たちはプリンシパルコルネットの

        • ブラスバンドでの打楽器

           ブラスバンドにおける打楽器は比較的新しい時代のものである。歴史を遡ると、ブラスバンド運動が起こった19世紀のバンドで演奏されていた曲はオペラなどクラシックの編曲ものが多く、それらの楽曲で打楽器が使用されることがなかったためだ。  19世紀末になるとヴォランティアバンド(義勇兵バンド)が発達し、行進曲を演奏する機会が増え、ブラスバンドオリジナルの行進曲も作曲されるようになった。行進しながら演奏する場合に必要とされたのが打楽器である。初期のブラスバンドではサイドドラム、バスドラ

          英国式ブラスバンドの座席配置

           英国式ブラスバンドの紹介文によく書かれている「コの字型」や「馬蹄形」と言われる座席配置 seating arrangementについて今一度考えて調べてみよう。  いろいろなところで少し文体を変えて使われるフレーズとして、「コの字型ではなく、馬蹄形にするほうがいい音になるし、そのように配置するのが一般的」のようなニュアンスで書かれているのをしばしば見る。しかし、日本のブラスバンドで馬蹄形はまず見ない。これはコンサートで奏者の顔が見えないのもどうかと思われるためだろうか。

          英国式ブラスバンドの座席配置

          ブラスバンドのビブラート

           タイトルにある通り、ブラスバンド(ここでは英国式)のビブラートについて少し考えてみようと書きつける。  よくブラスバンドの紹介で書かれる「ほかの編成に比べてビブラートを多用する」という文章が見られる。まあ確かにビブラートはよく使う。  しかし、なぜビブラートを多用するのか(そもそもなぜ掛けるのか)考えるべきだと思う。  ではビブラートの効果とはなにか。調べれば音響学の論文がでてきて非常に面白いが、難解すぎるのでざっくりと。 1.音量が大きく聞こえる 2.音色が柔らかめに聞こ

          ブラスバンドのビブラート

          英国式ブラスバンド界隈で思うこと

          英国式ブラスバンドといちいち打つのはめんどくさいので、以下ブラスバンドと書く。 Twitterを見ていると、某作曲家などが吹奏楽をブラスバンドと書いて、ブラスバンド界隈の人々から区別しろ、と言われているようなツイートがTLに流れてきた。 プロであったり、音楽で食っている人たちが吹奏楽とブラスバンドとを区別できないのは確かに反発されても仕方のないように思える。 ブラスバンドでしか演奏していない私も思うところはあるし、実際ブラスバンドと名乗っていて、吹奏楽と勘違いされて木管吹きに

          英国式ブラスバンド界隈で思うこと