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リハーサルについて
普段のリハーサルをどのように進めるのがもっとも効果的なのか?
それは常に指揮者を悩ませる問題だろう。もちろん正解はないし、凄まじい数のアプローチがある。
日本のブラスバンドで毎回のリハーサルに指揮者が指導にあたることはそう多くないように思える。指揮者指導者がおいでにならないときは団員が代振りしたりするのがよくある。私もしばしば矢面に立たされる。そんな私がイギリスのバンドリハーサルで感じたことや、海外のトピックでの議論で得た情報をここに書き留める。
どこの国のブラスバンドでもコラールから合奏を始めることが多い。稀にイギリスの下位セクションでは人が集まるまでマーチ吹いたり、トップセクションでは逆にいきなり曲の練習をしたりする。
コラールを演奏することでバンド内でのピッチやサウンドのチューニング、アタックの統一、ダイナミクスの統一、フレージングなど多くの効果が見込める。ただ、サウンドやピッチだけを見るのは勿体ない。追加でコラールを八分音符や16分に細切れにするなどすれば、別の基礎合奏メソッドを用意することなく、バンド基礎合奏として応用もできるし、それにアーティキュレーションの課題を付与することで、よりその後の曲練習に応用が効く。
なぜコラールを演奏するのか、どのような効果を見込んで練習するのかに着目することが重要だ。
コラールで全体的なチューニングが済むと持ち曲の練習に入る。どの曲を練習するのか事前に周知できるのが好ましい。仕事と両立している奏者たちは必ずしも与えられた譜面をすべて譜読みできているわけではないだろう。理想は理想であるが。事前にわかっていれば数多の持ち曲からその練習する曲をピックアップしてさらうことができる。また、いざその曲を合奏しようとなったときに、やれ譜面がないだのという問題がロスタイムを生む。合奏前に譜面を配れることでスピーディーに、ライブラリアンの手間を煩わせるということもなくなる。
ここから日本と海外のバンドリハーサルの進行の違いを書くが、どちらが良い悪いというわけではない。日本には日本のやり方があり、他国には他国のやり方がある、バンドごとにもそれは異なるし、自分のバンドに合ったやり方を見つけるのが最も好ましいことを示しておく。
イギリスの2ndセクション上位以上(もちろん私の観測範囲内)では吹いている時間が長い。曲を吹き、なにかのミスに指導者が気づけば、即刻指示やアドバイスを出し、次再開するリハーサルマークの指示を出したころには奏者は楽器を構え始め、指揮者が棒を構えた頃には演奏できるようにしている。実にスピーディーである。指揮者が喋っている時間は1分以内のことが多い印象だ。
一方日本で感じたことは吹いている時間の短さだ。(悪いと言っているわけではない。)メンバーのモチベーションを維持向上させるためのトークも必要ではあるし、必ずしもズバッと指示出しできるわけではないから仕方のない。
2時間のリハーサルがあれば、実際に吹いている時間は半分以下ということも少なくないだろう。
イギリスのとにかく吹く、唇を休ませる間もなく吹かされるという進行は趣味のコミュニティとしては楽しさが薄れるので、バンドのモチベーションにもよっては向き不向きがあるが、耐久力&集中力向上には効果があるのかもしれない。あちらのバンドで「口がバテて音が出ない」というのをあまり見なかった。特にソプラノの耐久力については顕著だと思う。バケモノレベル。
そしてどこのバンドも1.5〜2時間のリハーサルで行っているが、休憩を挟むか挟まないかについては議論が多い。4barsrestにもリハーサルについての記事があるので調べて読んでほしい。が、ざっくりと休憩について。
10分と決められた休憩をしっかりと守れるのであれば望ましいと書かれている。が、海外の掲示板では2時間程度のリハーサルで無理に休憩を挟む必要はないという意見も少なくない。お好みでどうぞ。
最後にリハーサルの録音について。
これを活用しない手はない。それなりのハンディレコーダーたとえばZoomのH2Nなど安価なものでも使用すれば優れた演奏に早く近づける。毎回録音して、それをバンドにできるだけ早く共有できれば、熱いうちに叩ける。
バンドメンバーのモチベーションなどを鑑みて、向き不向きを見極め、もっとも効果的なリハーサルを提供できるよう代振り含め考えていけるといいと思う。