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メメント盛蔵
2020年1月26日 23:05
あかずきん パンとワインを 持ってって道中寄り道しちゃダメですよ花畑 教えてくれてありがとう これは寄り道ではなくってよ軽やかに木の戸を叩く音がする娘か孫か? いやオオカミさ生温く生臭く赤い肉の道通って死んでたまるものかすやすやと ネグリジェ、ナイトキャップまでかぶりベッドで眠るオオカミ黒い空 縦に裂かれて 血塗れの生まれて二度目に腹からい出るオオカミの血に濡れ
2020年1月20日 22:30
色のない世界の中でただひとつ生きる喜びなの 赤い靴信仰も涙もひとの涙さえ赤い靴には勝てっこないの「死して尚、踊り続けるのが罰だ」綺麗な顔で天使が告げる葬送の別れも祈りも涙すら流せずにいる 踊ったままで罪人の首を切るのが仕事なら私の脚はつみびとですよ穢れなき少女が踊り叫んでる私の脚を切ってください穢れある我が手にキスし礼を言う「貴方の両手に祝福あれ」連作「赤
2020年1月16日 18:31
夜ライブ気合いで定時に帰るぞとカバンにペンラ入れて出勤残業中 推しブロマイドが聞いてくる仕事と僕とどっちが大事?寝なきゃとは思っているよ、思っては23時からリアタイするけど新しい服も新色コスメまで推しの色です 推しの衣装です何食わぬ顔で通勤ラッシュタイム押しつぶされつつ推しの曲聴く飯を食え 暖かくしてよく眠れ舞台もライブも最高だったよ恋人というよりむしろオカン目
2020年1月11日 20:24
あの日あの場所であなたにあった時駆け出したくて仕方なかった除光液 歪なネイル 派手なラメ落として普通の私に戻る胸いっぱい 冬の空気を 吸いきれず噎せる大人と 走り出すきみ満月を 一緒にみたい人がいる綺麗と言いたい人がいるたそがれの電柱裏にひとりきりかつての怪異の頭領がいるあの人へ渡す言葉を食べている電子の海に漂うクラゲ踊ってるシャワーと泣き出す洗濯機歌う湯沸か
2020年1月10日 08:26
数分の電車の遅延のせいにして一日早い休日迎える歩いても快速乗っても追いつけない等間隔のレールの向こう構内の放送告げるさよならを朝日に照らされ戻らない君爆音の音楽の裏で鳴り響く誰かの命が今日消えた音背を向けて走り出す先終点へ乗り継いだあとにまだ道はあるランドセル背負い並ぶ雀らとマフラーに顔 うずめて寝る僕こねずみをはるか空から狙う鷹背景の富士に茄子は添えるだけ
2020年1月9日 08:36
土踏まず 寄った靴下踏んづけてなんでもない顔をして歩く最安値 三百円で買える爪剥げた塗装をそっと撫でる手オーブンを開けようとした僕止める指から香る バターと果実流星を 繋げ束ねて 糸にする紡いで君に届けるリボン横たわる体の下に埋まってる数多 星の数のつはもの渋ってた君を誘って動物園うさぎに埋まる君見て笑うバイト代 たった7cmの背伸びあなたの視界に入ってみたい
2020年1月8日 08:35
湖を作れる悲しい気持ちだけ溢れるわずか15㎖あたたかく しかくいへやを飛び出して眠気と寝癖をはらう鋭い冬憧れの君が隣にいるなんてこれ明晰夢 うん、明晰夢国破れ山河と共に私あり途方に暮れる裸足で歩くスピカより 何光年先 どこにある貴方の星へ 夢見て翔ぶ一月の朝 短パンに半袖の君と まんまる厚着の私渋谷地下 ハコのスタンドから宙へお前ら連れてく推進力2020/
2020年1月7日 08:36
いたいけな少女のようにあどけなく笑って僕に傷つける君じゃがいもを入れない主義の食卓と牛より豚派のカレーが出会ったわりばしを9対1でまっぷたつ呆れ顔するあなたが笑うるり色のハワイの海を眺めてる8K コタツで見るユートピアななくさを省きまくって台所キャベツの入った粥がゆれるかえりみち 商店街で受信する「パン買ってきて」で終わる正月よう、と声掛けられるまで気づかずに
2020年1月6日 22:23
100グラム前後の紙の束魅せる手のひらの上 無限の世界お財布と変えの下着と携帯といつもの文庫をカバンに入れて「今買うの?すぐに文庫も買うくせに」「ハードカバーは、別物カウント」大切な1冊胸に生きていくこの身一つで生きてはいけない特別な儀式 寝る前 頭を悩ませる今日の最後に読む本はなに?美しく生きる理由にはならねども死ねない理由の未完の大作ことのは 紡ぐ人と 紐解
2020年1月5日 22:37
カスタードの天鵞絨の上に敷き詰めて食べる宝石 ショーケース並ぶ全世界に今知れ渡る 焼き菓子は遠い異国の誰かの思いアルコール 苦さ 香りも わからずにこれが大人の味かと思う赤緑 箱から取りだし日にかざすステンドグラスを覗く瞳憧れと嬉しさ併せ蝋燭に照らされる イチゴ 目に焼き付いて故郷の初雪景色によく似てる黒い大地に粉砂糖 降る幸せを小箱に詰めて持ち帰る甘さの前に
2020年1月4日 22:44
一番に見られ 見る場所 指先の伸びた爪を 美しく塗るごく普通 地味め平日ローテーション 土日に纏う 本当の自分ケアも無駄 死んだ細胞と言うけれどなら何故みんな執着してるの?食べたもの見たもので人は変わるらしい貴方で私はどれほど変わるか握りしめ 震える拳 殴るじゃなく自分のリンパを流すために鍛えるは 向かい風に倒れずに追い風に乗り 走り出すため無理やりに昨日の空気
2020年1月3日 22:10
箱根路を吹き抜ける風 吸い込んで味方につけて 行く五十五里病める日も健やかなる日もこの脚の行けるとこまで行くだけですから数秒間 枯れる気力を振り絞り背を押し叫ぶ 頑張れの声山の神 二十のなかの一人だけ山の女神に愛された者来る人と 諦めなかった待つ人を別つ音と 乾いた襷箱根山 神の道を駆け下りて都で待つる 仲間の元へ涙 汗 沁みる襷をそれぞれの胸に道行く若人らよ
2020年1月2日 22:58
箱根路の 凍った空気を駆け抜けて 今年も我が家に 正月が来た近況を 年に一度 伝え合うこれから一年 また会わぬひとよろしくと 声をかけ合う人の波君の手のひら そっと握るよ初詣 神様よりも君に会うために早起き罰当たりな僕松の葉の先に凍った朝露に光る初日を 飲み込んだひとお雑煮もおせちの中身も違うけど二人でだったら楽しいかもね一日の夜に疲れて寝る君の初めての夢のさ
2019年12月31日 10:44
「来年は毎日掃除するからな」「去年も言ったよ 窓拭きながら」待つ子らへポチ袋とピン札と用意し始まる帰省支度道中の混雑予想 手土産で増える袋を計算に入れ実の中のさらに小さなみかん見てぼくみたいだと笑う幼子薄皮に栄養があるという母と食いにくいだろとちまちま剥く父武道館 実家に コミケ最終日 それぞれ過ごす この大晦日走り去る月を追いかけ駆け抜けた僕から僕へ襷をわた