松林図屏風【長谷川等伯】 東京国立博物館 トーハク1 東京都台東区
最初に取り上げるミュージアムは、東京国立博物館(以下トーハク)。
個人的に最も足を運んできたところで、最近は月1ペース。
異論はあるかもしれませんが、日本の頂点に位置するミュージアム。
ここ数年で年間パスポートの条件が悪化してきた印象は否めませんが、もともと安すぎたと。
現在は国立博物館メンバーズパスをチョイスしている。¥2,500で1年中楽しめてお財布にもやさしい。また京都、奈良、九州の国立博物館も平常展なら無料で入場可。
基本情報
東京国立博物館 所在地:東京都台東区上野公園13-9
トーハクは国立西洋美術館や国立科学博物館、上野動物園、東京都美術館等が集まる上野恩賜公園内にある。江戸時代は寛永寺の境内だった所で寛永寺はトーハクの北側に残る。
所蔵品は国宝89件、重要文化財648件を含む総数約120,000件と膨大で、寄託品が国宝54件、重要文化財262件を含む総数2,651件(2022年時点)。
つまり国宝と重文だけでも1,000件を超え、質・量ともに国内最強のミュージアム(国宝、重文だからスゴイというワケではないけど)。
トーハクの歴史と建物
トーハクは1872年に湯島聖堂(東京都文京区)での最初の博覧会を起源としていて、上野へ移転したのは1882年。当時の本館(一号館)は日本近代建築の父ジョサイア・コンドル(1852-1920)による設計。
コンドルの作品として東京都内には
旧岩崎邸庭園 (東京都台東区:1896 重要文化財)
旧島津家本邸:現清泉女子大本館 (東京都品川区:1915 重要文化財)
が残る。
1909年にはコンドルの弟子の1人・片山東熊(1854-1917)設計による美術館(現在の表慶館、重要文化財)が開館。
片山は
赤坂離宮迎賓館(東京都港区:1908年、国宝)
奈良国立博物館(奈良県奈良市:1894年、重要文化財)
京都国立博物館(京都府京都市東山区:1895年、重要文化財)
等の重厚な建築を残す。
コンドルの本館は1923年の関東大震災で大きな損害を受けたため、コンペで選ばれた渡辺仁(1887-1973)設計の新しい建物が1938年開館。帝冠様式と呼ばれ、ビルに和風の屋根を乗せたようなちょっと変わったスタイルの建物は、総合展示室として今も現役(タイトル画像)。
東京都心の渡辺作品としては、銀座和光(東京都中央区)や第一生命館(東京都千代田区)があります。彼の名は知らなくても、これらの建物をご存じの方は多いでしょう。
1968年には谷口吉郎(1904-1979)の手による東洋館(アジアの美術工芸品を展示)が、1999年には特別展用の平成館と谷口吉生(1937- )設計による新しい法隆寺宝物館が開館して現在のトーハクのカタチに。
谷口吉郎&吉生さんはトーハクでの親子共演。
吉郎さんは赤坂離宮迎賓館和館(東京都港区)、帝国劇場や出光美術館の入る国際ビルヂング(東京都千代田区)を、吉生さんは土門拳記念館(山形県酒田市)、豊田市美術館(愛知県豊田市)、京都国立博物館平成知新館(京都府京都市)、鈴木大拙館(石川県金沢市)他多数を設計。
本館、東洋館、法隆寺宝物館の3館は常設展示と一部企画展用、平成館と表慶館は特別展や企画展用。
これらの建物群自体が近代日本建築草創期から現代建築までの流れをいい感じで見せてくれます。
展示スペースはあまりに広大で、1日で全てを見て回るには時間と体力が必要。
ミュージアムショップの規模も大きく、各種グッズや専門書籍、日本各地のミュージアム発行の図録が揃います。
特別な知識がなくても十分に楽しめますが、何度も通っているうちに今まで見えていなかったモノが見えてきて、自分の世界がじわじわと拡がっていく感覚を実感できます。
知識や経験を積み重ねる事で得られる面白さと楽しさ。
正月の長谷川等伯
さてトーハクの新年といえば「博物館に初もうで」で始まります。
その年の干支にまつわる品々や長谷川等伯の「松林図屏風」が正月展示の定番。
1年ほど前に「謎めく東博の等伯」という記事を発見。それは2021年正月の「ほぼ日刊イトイ新聞」のコンテンツ。つまりほぼ2年遅れの発掘。
「トーハクのトーハク」とはうまいコピーだなーと感心しつつ、等伯の松林図屏風をトーハクの学芸員(おそらく偉い人)が詳しく解説しているとても興味深いモノ。結構ボリュームあり。
いろんな意味で正月は久しぶりにトーハクに行くぞーと決意した2022年末。
つづく
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