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週末読書メモ9. 『経済は感情で動く はじめての行動経済学』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

人間って何と感情に左右されるの生き物なんだろうか。そんなことを知れる行動経済学の入門書としてオススメの一冊でした。


本書での大きな学びは、人は必ずしも合理的な判断をしていないこと、それも無意識のうちに(脳が)そう判断してしまっていることです。

とても興味深いのは、その原因は人類の進化の過程で脳がそう最適化されてしまったため、ということです。

例えば、「損失回避性」は、食料等を得ることよりも失う方が生死を分けたため、「ヒューリスティック(熟慮ではなく直感に頼ること)」は、危険(外敵や災害)に直面した際に1秒でも早く逃げる必要があったため、脳が進化の過程で身につけた。

本の中では、様々な人間の不合理さ、脳のエラーが紹介されています。

ただ、そのような不合理さも、進化の産物だと受け入れれば、仕方がないものであり、愛おしく思えます(なお、不合理な判断が、必ずしも不幸せな結果になるわけではありません。逆に、精神的には幸せになる結果に繋がることもしばしば)。


この2〜3週間、行動経済学の本をいつくか読んで思ったことは、行動経済学の理論は、パターンが多岐に渡っており、体系的な整理が難しいということ(専門家の著者らですら)。

だからこそ、多種多様な事例・理論が紹介されている本書は、とっかかりとして良かったです(同時に読んだ『ファスト&スロー』、『実践行動経学』、『予想どおりに不合理』も、頭の引き出しを増やせる素晴らしい本でした)。


前回の『知っているつもり ー 無知の化学』と同様に、人間の認知力の限界を、身にしみて理解できます。

そして、経営学・経済学は心理学と繋がっていること、その先には神経学や生物学の世界が待っていることも、これらの本からよく分かります。

世界は本当に広い。更にその先にはどんな世界が待っているのだろう。


【本の抜粋】
お金を節約したり使ったり投資したりする段になると、私たちの頭は、経済学の本によくある数学的モデルのような、「効用最大化」の合理的な計算機ではなくなってしまう。

私たちは日々の暮らしのなかで、喜び、不安、怒り、羨望、ねたみ、嫌気といったいろんな感情を体験するが、何かを決める段になるとそれらがしゃしゃり出てきて、計算とは大違いの結論を出せと迫る。

研究によると、私たちは無意識の操作と調整可能な操作のあいだ、情緒と認知のあいだ、もっと平たく言えば感性と理性のあいだでたえず取引をしながらー関連する脳の部位のシナプスの動きにも左右されながらーさまざまな選択をしているらしい。

人はとりわけ否定的な面に注目するそうだ。肯定的な面にくらべて、否定的な面が選択を大きく左右する。

私たちの頭は実際、正しい選択に役立つ情報のすべてを分析することなどできないし、確率の法則に従った計算をうまくやれるほど賢くもない。そのためにしばしば「思考の近道」に頼ろうとする。つまり、素早く単純に直感的に判断しようとするのだが、こっちのほうが楽だしやりやすいことはまちがいない。しかし困ったことに、こうした判断がつねに的確だとは言いかねるのだ。

要するにいろんなケースで、後悔したくないから決心を後まわしにし、自信がないから縮こまって、現状を変えることができても変えようとしない。選択しないでいることもそれなりの選択であることには気がつかない。

エラーを減らすためにエラーを認めるということは、この世の生き物が持たない認知能力を持っているつもりにならないで、自分の限界を正直に認めるということだ。

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