(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
経営学の世界的名著『知識創造企業』から四半世紀、待望の続編が本作『ワイズカンパニー』。日本人で数少ない世界的な経営学者(野中郁次郎さん)の知見・思考を垣間見れる一冊でした。
本書は、2部より構成されています。
知識実践とは何かを、SECIモデルの再考から、更なる知識創造・実践モデルが記された第一部。イノベーションを起こし続ける企業の源泉となる、実践知を備えた「ワイズリーダー」の6つの特徴が記された第二部。
ともに、筆者の知見を総動員した内容であり、重厚で示唆に溢れています。
(※参考1:SECIモデル)
(※参考2:ワイズリーダーの6つの特徴)
しかしながら、本書の最大の魅力は、筆者の知見の幅、そして、思考アプローチを垣間見れることだと感じます。
"知見の幅"について印象深かったのは、筆者が知識とは何かを探究する際、拠り所としたのが、哲学、心理学、神経科学、社会科学であること。
なるほどなあ。知識実践・経営学も、人間による活動である以上、こんな分野まで探究の幅を広げると…
また、"思考アプローチ"について印象深かったのは、大きく二点。具体的な人単位で探究すること、そして、歴史から未来を構想することです。
前者に関しては、野中さんが企業の経営を研究する際、企業がどう動いたかではなく、ある人がどう動いたかを執拗にまで探っています(実際に、本書の中で登場した人物は、30~40人を越えるほどに)。
再現性を作るためには、どのようなプロセスがあったかが重要であり、突き詰めると当事者の思考・行動に行き着くと。その調査は大変な労力がかかることであり、それを手を抜かず行うことが、野中さんの凄みだと感じます。
そして、歴史から未来を構想することに関しては、下の引用部分にグッときました。
本当にそう。自分は筆者には遠く及ばないけれど、歴史を学ぶことによって、紐解ける現実・描ける未来は、間違いなくあると感じます。
野中さんは『失敗の本質』から始まり、歴史と組織・リーダーシップを紐付けた名著も多数書かれています。
野中さんが他の経営学者の方々と一線を画しているのは、経営学の幅に囚われない高く広いマクロの視点、(そうかと思えば)人単位で追求するミクロの視点、その上で、歴史の流れを見極める大局観があるのだろうなあ(もちろん、これだけでは無いないけれど)。
あ、、、これは、世の中で言われる「鳥の目、虫の目、魚の目」と一致する…!?
(余談だけれど、今は、コウモリの目もあるんだ笑)
「鳥の目、虫の目、魚の目」の3つの視点の最高水準が、野中さんが行っているレベルなんだろうな…
直接会うのは難しくても、本を通じて、自分とは遥かに先の地点に達している人に触られるのは、本当に有難いです。
その地点は、随分と高く遠くにあるけれど、知ることができれば、きっと近づいていくことが出来るはず。1歩づつ行こう。
P.S.
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