(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
「考える」とは何か?
考え続けている賢人達の頭の中を覗き、「考える」ことを考え直すことができる一冊。
本作の筆者は予防医学研究者の石川義樹さん。医学の分野を越え、「人がよく生きる(Good Life)とは何か」を主軸に、アカデミックからビジネスの場まで活躍させる筆者が、「考える」ことそれ自体に向き合った本となります。
本作は、前著『問い続ける力』に続く、筆者の思考シリーズ本の第2弾。
「考える」ためにも「問う」から向き合った前作に続き、いよいよ「考える」こと自体に焦点を当てた本作。ただ「考える」だけでなく、「考え続ける」ことの結果、いかに創造性・イノベーションを作り出せるかが、両書の真のテーマになります。
本シリーズ最大の特徴は、自分自身の考える賢人である筆者の主張だけでなく、述べ14名ものインタビューが載せられていることです。それも、経営者から研究者、はてはAV監督や一流シェフまで。各人の対談を通し、様々な人・視点からThink Differentのヒントを得られることにあります。
筆者石川義樹さんの見解の中で特筆すべき内容は、「大局観」という思考法にも焦点を当てたことだと感じます。
「論理的」思考の重要性は今や常識になっています。そして、それに対比するように、数年前から「直感」にも注目されるようになりました。しかし、石川さんはその2つの思考法の間には、「大局観」という思考法も存在することを言及します。そして、「大局観」こそ、考え続けた先に創造性を生み出す鍵だと言います。
大局観を活かすことで、普通の人の目には気が付けない空白地帯を捉えることができるようになると。本書の中にある、松尾芭蕉や世阿弥が、いかにThink Differentをしながら、日本や世界の文化にイノベーションを起こしたの論考は、一読の価値があります。
前著と合わせて14名もの対談がある中、個人的に印象深かったのは、安宅和人さん、濱口秀司さんとの内容です。
論理的思考法の名著『イシューからはじめよ』で有名な安達和人さん。
この本の中での対談では、『イシューからはじめよ』では書けなかった更に深い内容にまで突っ込んでいきます。特に「情報処理のバリューチェーンと知覚の広がり」の図は必見(下URL中にも記載があり)。
思考は「入力→処理→出力」というのは分かっていても、その要素をここまで深く詳細に明らかにしたものは、他では見たことはありません。その要素一つ一つに工夫の余地があり、個人単位・組織単位で、知的生産のテコ入れの示唆に溢れています。
また、知る人ぞ知る現代日本のイノベーターである濱口秀司さん。有名なものだと、USBメモリーの生みの親であること(濱口さんの人柄や思考レベルの雰囲気は、下の対談記事から滲み出ています)。
本書の中でも、創造性・イノベーションを生み出すために必要となる思考のプロセスから日々の所作まで述べられています。学術理論ではなく、自らの経験と思索から導き出した原理原則には、思わず唸ります。
本書でのインタビュー内容は、一般的な大衆向けに優しい説明ではなく、知の賢人同士の対話だからこそ、普段では触れることの出来ないような思考プロセスを覗き見ることが出来ます。その全てを真似することは到底難しいけれども、取り入れたい要素を多く得ることができます。
何かを創り出すためには、歩き続けるように考え続けなければなりません。
けれども、どこから・どのように考えるべきか、という点に立ち帰り、「考える」ことには、進化させる余地があることに気が付ける一冊でした。
P.S.
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