見出し画像

週末読書メモ59. 『Invent & Wander』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

当代随一の経営者の軌跡と原則。それに触れられる良本。


世界最大のECサイト、アマゾン。その創業者であり、世界屈指の億万長者・経営者となったジェフ・ベゾスさん。

前回のスティーブ・ジョブズ氏の自評伝を書いた、ウォルター・アイザックソンさんは、これまでレオナルド・ダ・ヴィンチやアルバート・アインシュタインという天才的な頭脳の持ち主を対象に偉人伝を描いてきました。

その彼が、現在生きている人物の中、これらの偉人に並びうる存在としているのが、今回取り上げるジェフ・ベゾスさんとなります。

本書には、その人生の軌跡、そして、アマゾンを導き続けてきた経営の原理原則が描かれています。


読者のみなさんは本書を通して、ベゾスのインタビューや著述や1997年以来彼がみずから綴ってきた株主への年次書簡から、多くの教訓を学び、隠れた真実を知ることができるだろう。ここに、私が最も重要だと思う5つの点を挙げる。
1 「長期」に目を向ける
2 しつこく情熱的に「顧客」に集中する
3 「パワポとスライド」のプレゼンを避ける
4 「大きな判断」に集中する
5 「適材」を採用する

結論から言うと、上記の5つがアマゾン社の重要な原理原則となりました。

「顧客至上主義」に並ぶ、アマゾンの特徴であり、個人的に最も刺さったのが、”長期がすべて”という「ロングターム思考」。

「長期がすべて」。1997年に出した、いちばん最初の株主への手紙の見出しに、ベゾスは斜体でそう書いた。
(中略)長期に目を向けることで、より速くより安くより優れたサービスを求める顧客の利益と、投資リターンを求める株主の利益を一致されることができる。短期ではそれが一致するとは限らない。
そのうえ、長期思考はイノベーションを可能にする。
「われわれは発明や新しいことに挑戦したい」とベゾスは言う。「長期的な視点は発明に不可欠だ。発明の過程では、かならずたくさん失敗するから」

長期思考だからこそ、長年売上額に対して希薄な利益しか出さないような多大なインフラへの初期投資。長期思考だからこそ、膨大な失敗を厭わないイノベーションへの挑戦。

投資家をはじめ、周りの様々なステークホルダーからの批判意見があったにも関わらず、はるか彼方を見据えて、これ等を行い続けたアマゾン。その結果として、今世界を制する企業の一角になったのは疑いがありません。


さらに、アマゾンがアマゾンたる部分は、長期を見据えつつ、毎日が「Dαy1」、「はじまりの日(創業日)」という熱気と活気を維持する文化を作り、実行し続けていることです。

この数十年というもの私は、「アマゾンははじまりの日」で、いまも創業したばかりだと言い続けてきました。
(中略)私が知りたいのは「どうしたら二日目を撥ね除けられるか?」ということです。二日目をかわすテクニックや戦術は何か?大企業の中でいかにしてはじまりの日の熱気を保ち続けられるか?
この問いに簡単な答えはありません。さまざまな要素があり、複数の道筋があり、落とし穴も多くあります。正解のすべては見えていませんが、わかっていることもいくつかあります。はじまりの日を維持するための必須要素は次のことです。
お客様にこだわること、既存のプロセスを疑うこと、外部のトレンドを取り入れること、そして素早く意思決定を行うことです。

彼がアマゾンに続いて創業した民間の宇宙開発企業ブルーオリジンの企業ロゴにはラテン語で「Gradatim Ferociter」とあります。それが示す意味は、「一歩ずつ、猛烈に」。

1万年先を見据え、長期目標を追求しつつ、その歩みは、一歩ずつ、猛烈に。

これはもう…実践できたら強いに決まっています。

それを実行し続けたのが、アマゾンであり、ジェフ・ベゾスさんであったことを、改めて、本書からまざまざと見せつけられます。

(その人としてのエネルギー値がどれほどのものかは、彼のインタビュー動画から垣間見ることができます)


「会社経営はマラソンと同じで、全速力で走っては長く続かないと皆さん言いますが、それでは本当の競争にはなりません。会社経営の経験のない素人がちんたら走っていたら、自分では走っているつもりかもしれないけど、全然勝負にならないでしょう。
 だから僕は、走り切れなくてもいい、最初の数キロだけでも一流選手に伍していこうという思いで、常に全力疾走してきました。周りはいつまで続くかと見ていたのでしょうが、走っているうちにそれが自分の習い性となり、今日まで続いている。最初から全力で走ろうと決めて、必死になって先頭集団に追いつこうと意気込んで走り続けてきたからこそ、実を結んだと思っています」

“常に全力疾走だ”、”全力疾走で走り続ける”。

ベゾスさんと同様のことを言っているのが、京セラの創業者であり名誉会長の稲盛和夫さんでした。ベゾスさん然り、稲盛さん然り、この境地に至るには、これほどの基準が必要になると。


はるかかなたの時間軸を見据える。

その上で、毎日をはじまりの日として生きる。

あ…!両極端にある時間軸を同居させるとはこう言うことなのか…!

二日目の企業も質の高い意思決定を行なっています。ですが、意思決定の質は高くても、スピードが遅いのです。はじまりの日の熱量と活気を維持するには、質の高い意思決定を素早く行わなければなりません。スタートアップにとっては簡単なことですが、大企業にとってはこれが難しいのです。
アマゾンの経営陣は素早い意思決定を鉄則にしています。ビジネスはスピードが命。それに意思決定が素早い職場は、楽しいのです。私たちにも正解がすべてわかっているわけではありませんが、意思決定のコツをここに紹介しておきましょう。
一つ目は、硬直的な意思決定のプロセスは厳禁ということです。
(中略)二つ目は、たいていの意思決定は、ほしいと思う情報の70パーセント程度しか手に入らない時点で下さなければならないということです。
(中略)三つ目は、「反対してもコミットする」を合言葉にすることです。
(中略)四つ目は、考えの本質的な違いを早めに認識して、すぐに上にあげて処理することです。

(中略)アマゾンではずっと、毎日がはじまりの日です。

それを実現されている人の内面・行動に加え、上記のように組織として実現するための仕組みも、本書から知ることができます。

はるか彼方と今この一瞬を同居させる。今まで全くイメージを持つことが出来なかったけれど、ようやく少しだけ解像度を上げられて良かった。千里の道も一歩から。その一歩ずつは猛烈にと。


【本の抜粋】
読者のみなさんは本書を通して、ベゾスのインタビューや著述や1997年以来彼がみずから綴ってきた株主への年次書簡から、多くの教訓を学び、隠れた真実を知ることができるだろう。ここに、私が最も重要だと思う5つの点を挙げる。
1「長期」に目を向ける
2しつこく情熱的に「顧客」に集中する
3「パワポとスライド」のプレゼンを避ける
4「大きな判断」に集中する
5「適材」を採用する

「長期がすべて」。1997年に出した、いちばん最初の株主への手紙の見出しに、ベゾスは斜体でそう書いた。
(中略)長期に目を向けることで、より速くより安くより優れたサービスを求める顧客の利益と、投資リターンを求める株主の利益を一致されることができる。短期ではそれが一致するとは限らない。
そのうえ、長期思考はイノベーションを可能にする。
「われわれは発明や新しいことに挑戦したい」とベゾスは言う。「長期的な視点は発明に不可欠だ。発明の過程では、かならずたくさん失敗するから」

アマゾンには現在、賢く勤勉で情熱的で、お客様を第一に考える2100人の社員がいます。採用基準を高く設定することは、これまでもそしてこれからも、アマゾンを成功に導く最も大切な要素であることは間違いありません。
採用面接では、次の3つの問いを念頭に置いて、決定を下すように社員に求めます。
「尊敬できる人物か?」
(中略)「加入するチームの能力を引き上げてくれる人物か?」
(中略)「その人はどの側面でスーパースターになる可能性があるか?」

私たちもライバル会社に注意を払う努力はしますし、ライバル会社に刺激を受けてはいますが、いまのところはお客様中心主義がアマゾンの文化における最も重要な要素になっていることは間違いありません。
一見目立たない利点ですが、お客様を起点に全てを考えると、ある種の積極性が内側から生まれます。自分たちが最高ではないと思えば、外からの圧力がなくてもすぐに行動するからです。私たちは必要に迫られなくても、自分たちから進んでサービスを改善し、特典や機能を加えます。誰かに言われなくても、お客様の価格を下げ、価値を向上させます。必要に迫られる前に発明します。

理想の事業アイデアには、少なくても4つの特徴があります。お客様に愛されていること。巨大な規模に拡大できること。投下資本に対するリターンが高いこと。そして長期にわたって、つまり数十年という期間にわたって継続できるということです。

この数十年というもの私は、「アマゾンははじまりの日」で、いまも創業したばかりだと言い続けてきました。
(中略)私が知りたいのは「どうしたら二日目を撥ね除けられるか?」ということです。二日目をかわすテクニックや戦術は何か?大企業の中でいかにしてはじまりの日の熱気を保ち続けられるか?
この問いに簡単な答えはありません。さまざまな要素があり、複数の道筋があり、落とし穴も多くあります。正解のすべては見えていませんが、わかっていることもいくつかあります。はじまりの日を維持するための必須要素は次のことです。
お客様にこだわること、既存のプロセスを疑うこと、外部のトレンドを取り入れること、そして素早く意思決定を行うことです。

二日目の企業も質の高い意思決定を行なっています。ですが、意思決定の質は高くても、スピードが遅いのです。はじまりの日の熱量と活気を維持するには、質の高い意思決定を素早く行わなければなりません。スタートアップにとっては簡単なことですが、大企業にとってはこれが難しいのです。
アマゾンの経営陣は素早い意思決定を鉄則にしています。ビジネスはスピードが命。それに意思決定が素早い職場は、楽しいのです。私たちにも正解がすべてわかっているわけではありませんが、意思決定のコツをここに紹介しておきましょう。
一つ目は、硬直的な意思決定のプロセスは厳禁ということです。
(中略)二つ目は、たいていの意思決定は、ほしいと思う情報の70パーセント程度しか手に入らない時点で下さなければならないということです。
(中略)三つ目は、「反対してもコミットする」を合言葉にすることです。
(中略)四つ目は、考えの本質的な違いを早めに認識して、すぐに上にあげて処理することです。
(中略)アマゾンではずっと、毎日がはじまりの日です。

P.S.
農業インターン・副業・プロボノ大募集!

学年や年齢、農業経験の有無は問いません!
インターン・副業・プロボノに興味のある方は、ぜひご応募ください!
農業界の未来を、共に切り拓いていきませんか?

【①インターン】

【②副業・プロボノ】

※個別対応のため、TwitterのDMでお問合せください(下はイメージ)。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集