(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
自ら学ばなければ、歩み寄らなければ、知ることの出来ない世界がある。
そのことを、嫌というほど思い知る1冊。
ほめられたくない、目立ちたくない、埋もれていたい…
今、こんな若者が激増していると言われます。
本作は、令和時代の若者の特徴や内面に切り込んだ話題作となります。
「いい子症候群」。
この言葉を耳にしたことがある人は、どれほどいるのだろう。
積極性・競争性とは対極にある行動様式、これこそ令和時代の若者の特徴だと述べられます。
「正直、これほどにもなのか…」と思う部分が節々にあります。
しかし、この本を勧めてくれた20歳前半の知人曰く、「頷く箇所ばかりだった」らしいので、それが事実であることは間違いありません。
他にも”究極のしてもらい上手”や”指示を得た魚(指示に対するモチベーションは基本的に高い)”等、他の世代では見られなかった特徴に、思わず言葉に詰まります。
前回取り上げたマイケル・サンデルさんの『実力も運のうち』では、貧富や能力による分断がテーマでした。
本作でのテーマは、世代間での分断。
かねてから、令和時代の若者(Z世代)の特徴は耳にしたところがありましたが、その理解の足りなさを痛感させられます…
それゆえに、自ら学ぶこと、歩み寄ること無しに、この差が近づくこともないことを確信します。なぜなら、(往々にして)その実態は無知な人間の想像をはるかに越えるもののため。
本作の魅力は、令和時代の若者の特徴を取り上げるだけでなく、その要因にも切り込んでいる点です。
筆者の述べる大きな要因は2つ。ゆとり教育、そして、上世代の姿です。
つまり、その教育方針の功罪として、競争性や(同調性を破るような)革新性は求められず、育成出来なかったと。
そしてこれ。
「いい子症候群」という言葉は、最近強調されるようになったのかもしれませんが、その片鱗は、10~20年前からあったように感じます。
だからこそ、本書の最後に書かれた言葉を、今を生きる1人でも多くの日本人が胸に刻む必要があると感じます。
「まずはあなたが挑戦するべきだ」
場所や時代、立場が違えば、分断は必ず生まれる。ゆえに、自ら学び歩み寄らなければならない。
そして、その分断を埋めたいと思うのであれば、自らが動き、その姿を示さなければならない。
そんな大切なことを、改めて気付かされる1冊でした。
P.S.
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