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週末読書メモ44. 『南へ  エンデュアランス号漂流』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

リーダーとは如何なるものか。前線に立つとは如何なることか。それらを、胸に刻みつけられるような一冊でした。


本作は、歴史上屈指の壮絶な困難の中で、仲間たちを生き残らせた男、アーネスト・シャクルトンの物語となります。

彼は、下の動画のタイトルにもなっている、かつて地球上で最も過酷なちを目指して冒険したシャクルトン以下エンデュアランス号による帝国南極王団体の隊長です。


その冒険自体の難易度に加え、悲運にも道中で目的地に辿り着けないどころか、船が崩壊するという筆舌し難い困難に直面します。

何ヶ月も続いた絶え間ない不安と緊張の末に、見通しがどう考えても真っ暗な時も、なお希望を高く掲げてきた月日の末に、とうとうエンデュアランス号の最後が来た。しかし、もはや修復の望みはないほど破壊された船を、やむなく見捨てることになったものの、我々は皆こうして元気に生きているし、この先にやるべき仕事のための、貯えと装備もある。その仕事とは、エンデュアランス号のメンバー全員で陸地に到達することだ。今の気持ちを文章にするのは難しい。

上記後、極寒の世界で、食糧も防寒もままならない環境。そして、それがいつ終わるか分からない状況。

普通の人であれば、精神がおかしくなり得る絶望の中で、シャクルトンのリーダーとしてのあり方が、組織のメンバーを生き残らせました。

今、わたしに課せられた仕事は、隊員たちの安全を確保することであり、そのためには、全身全霊を捧げるとともに、これまでの南極の経験でつちかったあらゆる知識を活用することが必要となる。これは、長期にわたる、骨の折れる仕事となるだろう。一人の生命も失うことなく、この仕事を完遂するには、規律立った考え方と、明確な行動計画が不可欠だ。人は、古い目標が潰えるやいなや、新しい目標に向かって邁進しなければならないのである。

高い知識・技能があったことはもちろんのこと、特筆すべきは、どんな絶望的な状況でも、希望を失わず、そして、失わせなかったことです。

苦しみや飢えに苛まれながらも、この意思・態度・行動であり続けたことに感服せざるを得ません(同時に、食糧や装備という兵站の扱い方も傑出しており、参考になります)。


我々は「苦しみ、飢え、勝利し、ひれ伏しつつも栄光を掴み、すべての偉大さの中で、より大きく成長をとげていた」。

暗闇の日々と、絶えざるストレスや緊張の中で、勇気を持ち続け、世間の注目など一顧だにせず、私心を捨てて自分たちの任務に邁進する男たちを自分の指揮官に置くことができたのは、わたしにとって、大いなる名誉だった。

そして、この言葉。メンバーへの揺るぎない高い感謝と尊重。こんなリーダーに、組織のメンバーが惚れないわけない…


前回のトッド・スキナーからは、傑出したプロフェッショナルのあり方を知ることができました。本作のアーネスト・シャクルトンからは、傑出したリーダーのあり方を知ることができます。


自分自身、日々大変なことがありますが、シャクルトンのこんな姿を知ってしまうと、弱音、悲観なんかしていられない、と襟を正されます。

(アラン『幸福論』)
「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」

まさにこれ。この言葉、そして、シャクルトンの姿を、心に刻んでいこう。


【本の抜粋】
何ヶ月も続いた絶え間ない不安と緊張の末に、見通しがどう考えても真っ暗な時も、なお希望を高く掲げてきた月日の末に、とうとうエンデュアランス号の最後が来た。しかし、もはや修復の望みはないほど破壊された船を、やむなく見捨てることになったものの、我々は皆こうして元気に生きているし、この先にやるべき仕事のための、貯えと装備もある。その仕事とは、エンデュアランス号のメンバー全員で陸地に到達することだ。今の気持ちを文章にするのは難しい。

今、わたしに課せられた仕事は、隊員たちの安全を確保することであり、そのためには、全身全霊を捧げるとともに、これまでの南極の経験でつちかったあらゆる知識を活用することが必要となる。これは、長期にわたる、骨の折れる仕事となるだろう。一人の生命も失うことなく、この仕事を完遂するには、規律立った考え方と、明確な行動計画が不可欠だ。人は、古い目標が潰えるやいなや、新しい目標に向かって邁進しなければならないのである。

しかしはっきり言えるのは、とにかく前に進もうとする姿勢が大切ということだ。なぜなら北西に向かって一日に五〜七マイル進むことができれば、数ヶ月以内に安全な場所に到達できる可能性は格段に高くなるからだ。心理学的な側面からも、このことは大切である。たとえ進行が遅くとも、陸地に向かって進んでいくほうが、ただ手をこまねいて、北西へゆっくりとした流れが、この残酷な氷の荒れ地から連れ出してくれる日を待つよりも、男たちにとっては精神的上ずっといいはずだ。

指揮官に孤独はつきものとはいえ、自分に従う部下の心に迷いがなく、自分の命令が自信たっぷりに、成功への期待を込めて実行されているということを実感できれば、決定を下す者の気持ちは大いに楽になるものなのだ。
我々は「苦しみ、飢え、勝利し、ひれ伏しつつも栄光を掴み、すべての偉大さの中で、より大きく成長をとげていた」。

隊員たちが常に陽気でいられ、実際に元気な姿で生還できたのは、ワイルドの頑張りと創意と手腕によるところが大きい。
(中略)食料がつきかけたときも、救助の見込みが薄れたときも、彼はくじけず、常に楽観的だった。

暗闇の日々と、絶えざるストレスや緊張の中で、勇気を持ち続け、世間の注目など一顧だにせず、私心を捨てて自分たちの任務に邁進する男たちを自分の指揮官に置くことができたのは、わたしにとって、大いなる名誉だった。

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