(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
戦略的思考とは何か。国家戦略を論じる著者の思考プロセスから、それを垣間見ることができる一冊でした。
本書は、筆者の日本人の戦略性の乏しさに対する問題提起から始まります。
国家戦略の欠如を憂えた筆者は、改めて日本の置かれた環境を解明し、今後の展望を提示していきます。
詳しい国家戦略の中身は本書に譲るとし、民間セクターで生きる者として非常に参考になったのは、筆者の拠り所とした切り口。歴史と地理から戦略的環境を解明したこと。
辛辣笑。これはあくまで一例だとしても、共通してあることは、情報不足。
(このことは、太平洋戦史を研究した本でも同様に指摘されていました)
情報不足。もっと深掘りすると、きっと日本人は無知の知に気が付きにくい特徴があるように感じます。
現代でこそ、移動手段、そして何よりもインターネットの発達により、地理的な制約を越えて、情報を得られるようになりました。しかしながら、それゆえに、情報格差はより広がっているように思えます。
翻って自分自身も、言語、コミュニティ、時間、バイアス等により、情報の存在は感じられているのに、その情報を取りに行けていないもどかしさが大きく(なんだろうか、最近はより一層…)。
要因は様々ですが、自分のスキルやリソースが問題なのであれば、具体的に課題は特定できるので、何とか努力で乗り越えることができます。
しかし、問題は無自覚なバイアス。これは、そもそも努力の対象として認識出来ていないので本当にマズい。
バイアスを、いかに乗り越えるべきか。
一つの手段は、多様性のある環境を生み、様々な視点に触れ、自分の世界観を更新することだと耳にします。その上で、(本書から得られたことでもあるけれど)、歴史と地理から、自分自身や環境・外部世界を客観視することなんだろうなあ。
(レフ・トルストイも描いたように、自分も世界も歴史も、様々な事象の積み重なり合い、因果関係を持つものなのだから)
戦略的思考を用いるにあたり、飛躍した解を作るアブダクションは未だに使いこなせる人は僅かです。一方で、答えのある解を作る論理的思考力の中でも帰納法や演繹法は、この10年くらいで基礎能力としての地位を確立し、限られた人だけの力では無くなりました。
だからこそ、インプットで差をつくことが、より強くなるように思えてなりません。情報が得られる時代だからこそ、情報で勝てるように、今から基盤を作っていこう。
※同じ本の名前で『戦略的思考とは何か ― エール大学式「ゲーム理論」の発想法』もありますが、こちらはこちらで、ゲーム理論の名著であり良本!
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