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週末読書メモ79. 『レオナルド・ダ・ヴィンチ』
(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
天才が見ていたものがこの本の中に。
情報、人、文化が混ざり合い創造性に溢れた時代、ルネサンス。
数々の天才を生んだこの時代において、天才の中の天才と呼ばれた人物、レオナルド・ダ・ヴィンチ。
本作は、彼が遺した全7,200枚にも渡る自筆ノートをもとに執筆された評伝となります。
芸術と科学、人文学と技術といった異なる領域を結びつける能力こそが、イノベーション、イマジネーション、そして非凡なひらめきのカギとなる。
(中略)レオナルドの非凡な才能破神からの贈り物ではない。彼自身の意思と野心の産物だ。
(中略)またレオナルドはちょっとしたことに感動し、想像の翼を広げた。
(中略)レオナルドが史上最高のイノベーターとなったのは、観察と想像を融合させるすべを心得ていたからだ。
『モナリザ』や『最後の晩餐』等の名作芸術で知られるダ・ヴィンチ。しかし、彼が生涯を通じて探求した分野は、解剖学から、光学、機械科学、水力光学、軍事技術、幾何学、舞台芸術にも及びます(そしてどれも超一級)。
「余計な」研究にうつつを抜かしたために、本業の絵画が疎かになったとまで言われることがあるそうですが、本書を読むと、それらの経験・知識によって、絵画史上に残る傑作が生まれたことが分かります。
(『モナリザ』で言うと、下のように)
『モナリザ』はその観察力を生かし、生涯をかけて知的好奇心の探究に没頭した人間の産物である。曲面に当たる光線、人間の顔の解剖、一定の面積・体積を持つ幾何学図形の変形、激しい水の流れ、地球と人体のアナロジーなど、ノート数千ページの探究を通じて、レオナルドは動きや感情の細やかな表現を学んでいった。
異なる領域の知を結びつけることがイノベーションの鍵であることは、様々な分野の専門家の中でも、通説となりつつあります。
その観点から見ても、ダ・ヴィンチはそれを地で行き、古今東西を見ても、屈指のイノベーターとなりえたことが、本書から滲み出ています。
ダ・ヴィンチの突き抜けた能力は数ある中で、最も印象深かったものは、”(凡人には)見えないものを見る力”です。
レオナルドが天才となった理由、すばらしく優秀というだけの人々との違いは、その創造力だ。それは想像力を知性に応用する能力である。創造的天才の常として、レオナルドには観察と空想を難なく結びつける能力があり、それが「見えているもの」と「見えていないもの」とを結びつける、思いがけない発想の飛躍につながった。「有能な人は、誰にも撃てない的を撃つ。天才は誰にも見えてない的を撃つ」と書いたのはドイツの哲学者、アルトゥル・ショーペンハウワーだ。
この力の根幹にあるのは、観察力と探求力と創造力の3つにあります。
観察により(普通の人では捉えることのできない)自然や人の構造や動きを、探究により物事の原理を、自らの知に。そして、その知と想像を結びつけ、誰にも見えないものを見る・描く(創造する)ことを可能としました。
本書の筆者は、世界的ベストセラーとなった『スティーブ・ジョブズ』で有名となったウォルター・アイザックソンさんです。
彼らの評伝を読むと、人並外れた才能の存在も否めません。しかし、同時に、彼らは生まれ持った才能だけで、その生涯での特筆した結果を生み出したわけではないことも浮かび上がります。
本書の最後には、ダ・ヴィンチの行動様式が20ものリストして挙がっています(下記”本の抜粋”を参照)。それからも、日々の思考・行動が、レオナルド・ダ・ヴィンチという人間・頭脳を形作っていったことが分かります。
彼らのような天才にはなれなくても良い、歴史上に名も残さなくても良い、けれど、自分の周りの世界を少しでも前に動かせるよう、少しでも近づく努力は諦めずに続けていきたいと感じさせられる一冊でした。
【本の抜粋】
芸術と科学、人文学と技術といった異なる領域を結びつける能力こそが、イノベーション、イマジネーション、そして非凡なひらめきのカギとなる。
(中略)レオナルドの非凡な才能破神からの贈り物ではない。彼自身の意思と野心の産物だ。
(中略)またレオナルドはちょっとしたことに感動し、想像の翼を広げた。
(中略)レオナルドが史上最高のイノベーターとなったのは、観察と想像を融合させるすべを心得ていたからだ。
レオナルドがミラノ公に呼び出され、そこで創造的な活動とはどのようなものかが議論された。ときには時間をかけ、休止したり、敢えてゆっくりと仕事を進めることも必要だ、それによってアイデアが熟成するのである、とレオナルドは説明した。ひらめきは時間をかけて育むことである、と。「卓越した才能を持つ者は、働いていないときほど大きな成果を生み出すこともある。彼らは常に頭のなかで、アイデアと、それを実現する方法を考えており、それがやがて形を取るのである」。
空想を現実に落とし込む能力の欠如は、レオナルドの大きな弱点と見なされていた。しかし真のビジョナリーには、無理を承知で挑戦し、ときに失敗することもいとわない姿勢が欠かせない。イノベーションは現実歪曲フィールドから生まれる。レオナルドが思い描いたものの多くは、ときに数世紀の時間を要することがあったが、結局実現した。
(中略)空想はときとして新たな現実の糸口となる。
偉大な知性の特徴の一つは、変化を厭わないことだ。レオナルドがまさにそうだ。
(中略)理論と経験を対話させ、両者に矛盾が生じたときには、それを進んで受け入れ、新たな理論の構築を試みている。先入観をあっさりと捨て去る姿勢は、レオナルドの創造性のカギとなる要素だ。
『モナリザ』はその観察力を生かし、生涯をかけて知的好奇心の探究に没頭した人間の産物である。曲面に当たる光線、人間の顔の解剖、一定の面積・体積を持つ幾何学図形の変形、激しい水の流れ、地球と人体のアナロジーなど、ノート数千ページの探究を通じて、レオナルドは動きや感情の細やかな表現を学んでいった。
レオナルドが天才となった理由、すばらしく優秀というだけの人々との違いは、その創造力だ。それは想像力を知性に応用する能力である。創造的天才の常として、レオナルドには観察と空想を難なく結びつける能力があり、それが「見えているもの」と「見えていないもの」とを結びつける、思いがけない発想の飛躍につながった。「有能な人は、誰にも撃てない的を撃つ。天才は誰にも見えてない的を撃つ」と書いたのはドイツの哲学者、アルトゥル・ショーペンハウワーだ。
凡人には想像もつかないような傑出した才能に恵まれていたわけでない。独学で知識を身につけ、天才への道を自ら切り拓いていったのだ。だからレオナルドほどの才能を身につけるのはおよそかわないとしても、彼に学び、少しでも近づく努力はできる。その人生から、われわれは多くを学ぶことができる。
・飽くなき好奇心を持つ
・学ぶこと自体を目的とする
・子供のように不思議に思う気持ちを保つ
・観察する
・細部から始める
・見えないものを見る
・熱に浮かされる
・脱線する
・事実を重んじる
・先延ばしする
・「完璧は善の敵」で結構
・視覚的に考える
・タコツボ化を避ける
・届かないものに手を伸ばす
・空想を楽しむ
・パトロンのためだけでなく、自らのために創作する
・他者と協力する
・リストを作る
・紙にメモを取る
・謎のまま受け入れる
P.S.
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