(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
一流の経営学者と一流の経営者による本気の会談集。
一橋大学、スタンフォード大学で教鞭を取った日本を代表する経営学者の一人、伊丹敬之さん。
ミスミグループの会長であり、企業再生人としても経営者としても、揺るがない実績を持つ、三枝匡さん。
(『戦略プロフェッショナル』、『経営パワーの危機』、『V字回復の経営』という三枝三部作、そして、ミスミの第二創業を元にした『ザ・会社改造』は、経営領域の本における名作です)
本書『「日本の経営」を創る』の内容は、そんなお二人が、持ちうる知識・経験を総動員して、「経営」をテーマに本気で語り合ったものとなります。
一流同士の世界だと、こうも豊かで、深い議論になるのか…と感嘆すら覚えます。
主テーマは「日本の経営」。しかし、それを語るために、日米における経営の歴史から、三枝さんの企業再生・改革の感想戦、これからの日本経営に求められること、と多岐に渡る内容に至り。それらを、1流同士だからこそ、巷では触れられない深度や温度感で語られています。
今から約40~50年前、海外に出る人が僅かであった時代にも関わらず、奇遇にもアメリカで仕事を行うという経験があった伊丹さんと三枝さん。その2人だからこそ、日本とアメリカを相対化し、両国の強みと弱みを語ります。
そのエッセンスはもちろんのこと、現代のパスク・アメリカーナ以前、フォードを代表するアメリカの覇権時代から、ジャパン・アズ・ナンバーワンの時代があり、そして、アメリカが返り咲く手前までの時代の歴史譚としても、一読の価値があります。
そして、本書の肝である日本の経営・経営者に求められることの議論。
経営者人材に求められること、それは、経営の「因果律」を頭の中にたくさん貯めることだと言います。そのためには、試行錯誤の回数が必要だと。
三枝さん自身が、初期に企業再生をする中で磨いてきた「因果律」、後期にミスミで経営者人材を創り出すため(つまり、人材が「因果律」を手にいれるため)の施策。それらを、自らの言葉で、後日談とともに語られます。
「事業再生の入り口はでは戦略八割、終わってみれば人間関係八割」という言葉も、三枝さんが持つ経営の「因果律」の一つであり、心に残ります。
節々に示唆に富む内容があるの本書ですが、その中でも、最も印象深かったのは、伊丹さんの「歴史は跳ばない、しかし加速できる」と言う言葉。
いやー…そうだよな…
これは、企業経営に問わず、古今東西の中で、歴史における盛衰のパターンがある例は、枚挙に遑がありません。
歴史が動くメカニズムというものは変えられないと。
であるならば、そのメカニズムを理解ことは必ずプラスになるはず。そして、その上で、そのステップを踏み続けられるようにすること。
「歴史は跳ばない、しかし加速できる」。そのためにも、一歩一歩を確実に歩み踏みしめていこう!
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