中国EV市場が大きく伸びた3つの要因
こんにちは。
株式会社ニュークラウドの木村です。
電気自動車(EV)と聞くとTesla(テスラ)やRivian(リヴィアン)などのアメリカ企業を思い浮かべるかと思います。しかし実は、現在中国がEVの先進国であり、今後中国EVが全世界に普及してくると言われています。なぜ中国がここまでEV市場を伸ばしたのか、それには大きく3つの要因があります。
そこで本日は、「中国のEV市場が伸びた3つの要因」についてお伝えします。
要因1. 中国政府のサポート
まず1つ目の要因は、「中国政府の(強力な)サポート」があります。中国は、国民に対して新エネルギー車(EV含む)への補助金導入をしており、2019年には“新車”販売全体の5%が新エネルギー車を占めるまでに伸びました。さらに新エネルギー車の使用比率を2030年に全体の40%、2035年までに全体の50%までに引き上げる方針を掲げています。
このように中国政府が全面的に押し進める理由は、中国の高い「石油輸入依存度」です。国際的に警戒される目安数値50%を大きく超えており、輸入量も上位に位置しています。また中国は、世界最大の炭素排出国でもあり、代替エネルギーの重要性は年々高まっています。そのため中国政府は、2021年09月の国連総会スピーチで「2060年までにCO2排出量を実質ゼロにして脱炭素社会を目指す」と表明しており、新エネルギー車に対して各国より踏み込んだ政策を進めているのです。
要因2. 自動車は生活空間
2つ目の要因は、中国人にとって「自動車は生活空間」と捉えているからです。中国の大都市(北京、上海、広州など)では、常に渋滞が激しく、睡眠時間と同じくらいの時間を車の中で過ごすことがあります。実際に私も何度も中国に行っているのですが、毎回必ず1回は大渋滞に巻き込まれます。そのため、車での時間をどのように過ごすのかとても大事と思われています。
現在のEV車は、「バッテリーの持ちと安定性」は大前提となっており、その上で「スマート化(人工知能化)」を重要視しています。自動運転により、車内で映画を観たり、音楽を聴いたりなどができるEV車は、中国人にとってはとても魅力的であり、EV車購入の促進につながっています。またメーカーもEV車の性能というよりかは、「スマート車」や「車内での過ごし方」などにコンセプトを置いて開発しているところが多いです。
要因3. IT企業が開発
最後の要因は、自動車メーカーではなく、「IT企業が(主導して)開発」を進めていることです。中国大手IT企業のBaidu(バイドゥ / 百度)、Alibaba(アリババ / 阿里巴巴)、Tencent(テンセント / 腾讯)などが積極的な技術や開発投資を行っておりEV市場拡大を担っています。実際にBaiduは、北京や深圳を含む複数都市にて自動運転のテスト走行や「Apollo Robotaxi」という無人運転タクシーの運行を行っています。2020年からテストを始め3都市で約21万人もの試乗車にサービスを提供。今後は2023年までに30都市に展開して、さらなる技術力向上にて「完全自動運転」を目指しています。
また自動運転の核となるAIアルゴリズムやディープラーニングの開発会社(SenseTime / 商湯科技)や世界トップクラスの音声認識技術を有する企業(iFLYTEK / 科大訊飛)などのソフトウェアから、新興メーカーのNIO(ニオ / 上海蔚来汽車)、Xpeng(シャオペン / 小鵬汽車)、Li Auto(リ・オート / 理想汽車)などのハードウェアの活躍もあり中国のEV市場拡大をサポートしています。
まとめ
中国のEV市場が伸びたのには、様々な要因がありますが、そのなかでも「自動車は生活空間」という認識は新しいです。日本に住んでいると大渋滞や車で過ごす時間はあくまでも移動の時しかないので、そこまで重要性を感じなかったのですが、これから自動運転が進み車で過ごす時間が増えるということは、車の中での過ごし方もとても大事になってきます。
EVは、この点(スマート化)をさらに強くすることができるため、今後もEV市場の発展に期待です。またそれが中国からということもあり、引き続き中国の動向から目を離せなくなりました。
株式会社ニュークラウド 木村