海外で流行したプロダクトをどう日本のマーケットでPMFさせるか?
みなさん、こんにちは。
株式会社マツリカの竹中(タケナカ)です。
本記事は事業開発という職業を行うと必ず聞くことになる、
「PMF」というテーマについて書かせていただきます。
その中でも、「海外で成功したモデル」を日本に輸入する際のPMFということについて詳しく記載をしていこうと思います。
特にSaaS事業を開発・運営していく中で、海外で流行っているモデルをベンチマークしながら、新たな事業を立ち上げるという方もいらっしゃるのではないかなと思いまして、その方々には特に直接的に参考になるかと思います。ご興味のある方はぜひ読んでみてください。
海外で流行っても日本では流行らない?
結論、海外で流行ったものがすぐに同じように日本でも流行り始めるということはないと思ってます。
例えば、代表的な例としてfacebookを挙げます。
2004年にマーク・ザッカーバーグの手によって誕生し、瞬く間に人気が爆発したfacebookが日本で流行ったのは、その6年後の2010年からです。
他にも、インサイドセールスも同様です。
アメリカでは2008年ごろから多くの企業がインサイドセールスという営業手法を導入し始めましたが、HubSpot Japanの調査によると日本ではその12年後の2020年ごろに、急激にインサイドセールスの導入率が高まりました。
このように、海外で今をときめくサービス・概念・システムなどが、日本ですぐに流行るかというと、遅れて流行るケースが多く見受けられることが分かります。
世界最先端のセールステック「デジタルセールスルーム」が直面した壁
そんな中、現在、株式会社マツリカでは、新規事業として、DealPodsというデジタルセールスルームのプロダクトを2023年春から提供開始しており、私も、その事業開発に携わっております。
….
….
….
….
….
(デジタル…セールス…ルーム…?)
(でぃ…でぃーる…でぃーるぽっず…?)
そうなんです。皆さんのリアクションが正しいんです。
この壁に直面しておりました。
海外では2020年頃から「デジタルセールスルーム」というカテゴリーのセールステックが流行し始め、昨年、2022年にはデジタルセールスルーム市場の需要がYoYで300%を超える大流行をしているのですが、
まだ日本では全くと言って良いほどに、知名度のないカテゴリーのセールステックになっています。つまり、海外で数年前から大流行しているデジタルセールスルームが、日本では全く流行ってないという状況に直面しておりました。
実際にデジタルセールスルームを使った体験レポートも作成しておりますので、気になる方はご確認ください!
この受け入れ難い事実を踏まえた上で、日本でPMFさせるために何を行ってきたのかということについてこの次でお話をします。
海外で流行った理由が日本で流行る理由になるとは限らない
海外で2020年〜2022年にかけて爆発的に需要が伸びたデジタルセールスルームですが、複数の海外の文献を読んでみると、なぜ海外でそこまで需要に火がついたかが分かってきます。
上記のようなことが海外でデジタルセールスルームの需要に火がついた社会的な背景だとわかってきたのですが、ここでもう1つ分かったことがあります。
そうなんです。海外で発生している社会的背景が日本では発生していないのです。つまり、海外で流行っているからと言って日本で流行るとは限らない要因として、あまりにも社会的な背景が違いすぎることがあると思っています。
この状況を踏まえて、海外で流行ったプロダクト・サービスを日本で展開する場合は、海外で流行った、そのままの理由・背景をもとに事業開発・マーケティング・セールス活動を行なっても、海外と同じような成功を収めることができるとは限らないと思います。
日本でのPMFを目指すために行う4つのこと
海外で流行っているものが遅かれ早かれ日本にも到来するという流れは歴史的にみても、様々なケースから説明がつくと思うのですが、事業運営を行っていると、流行が来るまで5年も10年も待ち続けるなんてことができる企業は多くないかと思います。
そこで、現在の日本のマーケットにどう入っていくかということが事業開発を行う上では、非常に重要なミッションになってきます。
では、デジタルセールスルームのDealPodsのケースを元に、どのように適応していったのかを具体的に紹介していきます。
① 海外で流行っている理由を一旦脳内からすべて消し去る
海外で言われていることは「最先端」「先進的」ではあるのですが、その「最先端」「先進的」なことをベンダーがマーケットに対して押し付けるようなことをしても、直近でPMFさせるという観点で考えると、意味がないと思っております。
どうしても「先進的」なメッセージをベンダーとしては打ち出したいところですが、そこはグッと堪える必要があると思います。
DealPodsの場合、「購買者は非対面・非同期を求めている」「バイヤーイネブルメントが重要だ」などといったメッセージが本来海外では打ち出していくメッセージングなのですが、このようなことを2023年の日本で叫んでも、極々一部の人にしか刺さらないメッセージングになってしまいます。
② バイアスを抜いてプロダクトの構造的に発揮できる価値を考える
海外文献を読めば読むほど、日本の市場には存在しない課題から発生した価値をプロダクトが発揮できる価値と認識してしまうことがあります。そこであくまで海外の成功例は参考にしながらも、プロダクトが出せる価値に改めて向き合い、どんな価値が今の日本の誰を助けるものになりうるものなのかということを立ち止まって考えることが重要です。
DealPodsの場合、商談の中で生まれる情報を可視化し、複数人で共有することに強みがあり、商談の中で多くの情報が生まれ、複数人に共有すべきシーンで価値を発揮しやすいということが抽象化すると分かってきました。
③ 価値が適応しそうなターゲットを絞り、検証
「誰の何を解決するのか」というシンプルな問いを明確にした後は、実際に対象になりうるユーザにインタビューを行い、検証を行います。
DealPodsの場合、商談の中で多くの情報が生まれる×その情報を複数人でシェアをしたい人たちという条件から、商談期間が長く、関与する人数も多いエンタープライズセールスの方々を対象にし、インタビューを行い、検証活動を行いました。(インタービューにご協力いただいた方々、ありがとうございました)
④ 「海外生まれ日本育ち」のプロダクトに変化させる
上記の①〜③を実施し、海外で生まれたプロダクトではありますが、今の日本にPMFさせるために、日本育ちのプロダクトに変化していきました。
海外の成功例に則ると、
「顧客に非同期・非対面で情報提供を行う、バイヤーイネーブルメントが実現できるデジタルセールスルーム」というキャッチコピーになるのですが、
①〜③の流れを実施した結果、
「複雑な商談・購買をシンプルにし、エンタープライズセールスを成功に導く、エンタープライズセールステック」というキャッチコピーに生まれ変わりました。
その結果、興味を持ってくださる方々が増え、直近でも様々なエンタープライズセールスに取り組まれている組織の方々に導入いただけるようになり、結果として私たちが本来進めていきたかった、日本市場へのデジタルセールスルームの浸透が動き始めました。
※ 直近でエンタープライズセールスを組織的に取り組み大きな成果を上げられているログラスさんなどにもご利用頂け始めました。
まとめ
今回はたまたま海外で生まれたプロダクトを日本でPMFさせるためにというテーマでお話しをしたのですが、もっと広く考えると、どんなプロダクトでもサービスでも、顧客に向き合って、自社が出せる価値を、顧客に伝わるようにしていこうというお話でして、Bizdev・事業開発などの職種として1番大切にしていますし、やりがいを感じることでもあります。企業によっては経営陣が行っていたり、マーケティングや製品企画が行っている仕事内容かもしれないのですが、役割は重要ではなく、この活動自体に非常に意義を感じています。
せっかく世の中にない新しいプロダクトを作っても正しい人に正しく届けることができなければ、本来助けることができる可能性のあった顧客を救うこともできなければ、事業としてもグロースせずに終わっていく運命を、一発大逆転させることができる最高の仕事だと感じています。
ぜひこのnoteや他のBtoB事業開発アドベントカレンダーのnoteを機に、Bizdev・事業開発に興味を持ってもらえる人が増えることを願っております。
他のnoteも気になる方は、 #BtoB事業開発アドカレ でXで検索をして年末年始の休暇などに私以外にも49本ものコンテンツがありますので、読んでみてください。
最後に、DealPodsに興味を持ったという方はデモをお見せしますので、連絡お待ちしてます!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?