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従業員の健康問題には産業医を活用せよその2~産業医を活用するための具体的方法~

以前公開した記事「従業員の健康問題には産業医を活用せよ~業務改善指導に伴う健康問題と産業医の活用~」を踏まえて、本記事では、従業員か診断書が提出された際に、産業医を活用して適切に対応するための具体的な方法についてお話し。
なお、本記事の末尾に私が作成した就業規則条項の具体例を付けていますので、参考にしていただければと思います。


1.産業医を活用して適切な対応を行うために必要なこと

従業員から診断書が提出された場合、それを踏まえて、休職命令や健康状態を踏まえた就業上の措置を行うか検討しなければなりません。このとき、産業医活用することが重要であることは、既にお話しました。

また、産業医を活用して適切な休職命令や就業上の措置を行うため、就業規則等において、以下の事項を確保することが重要でした。

  • 傷病休職事由が明確になっている

  • 休職事由につき、産業医の意見を踏まえて、会社が判断して「命じる」ことで開始することになっている

  • 会社が従業員に産業医面談を受けさせ、産業医の意見を聴取することになっている

  • 会社が産業医に対して従業員の職務内容や労働環境に関する情報を提供することになっている

  • 産業医が主治医から情報提供を受けることができることになっている

  • 試し勤務制度がある

  • 従業員が産業医への情報提供に協力(同意)することになっている

2.実際に産業医を活用するための備え

(1)産業医を活用するための備え一覧

従業員の健康問題について産業医を活用していくためには、以上で述べた就業規則等のルールを整備することに加えて、ルールを実際に運用していくための備えが重要になります。具体的には、以下の備えをしてくことが有用であると考えられます。

  • 健康問題に対する対応手順(フロー)をまとめておく(従業員の健康に関する情報を取得・提供するためには、本人の同意が必要です。そこで、フローを作成するにあたっては、同意取得のタイミングを確認しておくとよいでしょう。)

  • 個人情報の取得・提供に関する同意書の書式を用意しておく

  • 主治医に対して情報提供を依頼する書式(情報提供依頼書)を作成しておく

  • 産業医との事前調整をしておく(産業医への情報提供の方法、産業医と主治医との連携の方法、意見・診断結果の受領方法などを確認してく)

  • 産業医に対して情報提供を行うための書式を用意しておく

(2)産業医(又は主治医)に対して提供すべき情報

産業医から適切な意見を引き出すためには、従業員の職務内容や労働環境等についてしっかりと情報を提供しておくことが重要です。そこで、情報提供のための書式を作成するにあたっては、以下の項目を盛り込んでおくとよいでしょう。

  • 従業員の職務内容(具体的な作業や作業負担が分かる程度に具体的に記載するとよい)

  • 従業員の地位・責任の程度(職位や部下の有無、人数など)

  • 直近の業務態度や様子(会社にて把握しているもの)

  • 就業時間(夜勤の有無、残業時間など)

  • 実施中の配慮措置の内容

  • 実施可能な配慮措置(残業制限、就業場所の変更、作業の変更)

  • 会社における休職・復職の判断基準

なお、会社が従業員が提出した診断書を作成した主治医と面談等を行う場合にも、事前に同様の情報提供を行うことが有用です。情報提供の内容次第で、主治医の判断が変わるケースもあります。

(3)産業医から聴くべき意見の内容

産業医から意見を聴くといっても、単に健康状態に関する所見を聴くのでは意味がありません。就業制限の要否・内容及び休職の要否について、明確に意見を聴き出すことが重要です。
こうした意見引き出すにあたっては、厚労省のホームページからダウンロードできる意見書の書式(000901969.doc (live.com))が参考になります。この書式は、長時間労働者や高ストレス者の面接指導の際に使用することが想定されているものですが、「就業上の措置に係る意見書」の書式については、汎用性がありますので、活用するとよいでしょう。

(4)まとめ

以上のとおり、産業医を活用して従業員の健問題に適切に対応するために備えておくべき事項、産業医に提供すべき情報及び産業医から聴くべき意見の内容についてお話ししました。
なお、本記事では詳しくお話ししていませんが、特に復職の場面では、「試し勤務制度」が有用です。試し勤務制度については、また別の記事でお話しできればと思います。

3.産業医を活用するための就業規則の具体例

上記1.で述べた事項を盛り込んだ就業規則の具体例を以下に示します。
なお、あくまで一例であり、各社の実情に合わせて適宜修正して使用することが望ましいでしょう。

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