見出し画像

「自分」の会社から「自分たち」の会社へ。経営チーム立ち上げへの挑戦〜 動物医療のリーディングカンパニー1sec.の “Wellness Offsite”事例〜

琉球ウェルネス広報のサオリス・ユーフラテスです。

2014年の創業から11年目を迎え、経営体制の進化を目指す、動物病院業界のリーディングカンパニー株式会社1sec.様に、琉球ウェルネスの“Wellness Offsite”を導入いただきました。

代表のSHINY(シャイニー)さんと役員、4名のマネージャー陣の合計6名が沖縄で2泊3日の対話を通じて、経営チームの在り方を模索し、5年後のビジョンを描き出しました。その結果、未来の組織図と経営チームに必要な事項の描出、マネージャー陣の意識改革とオーナーシップの醸成に繋がりました。経営チームの立ち上げに向けて第一歩を踏み出した、1sec.代表のSHINYさんに、組織開発の舞台裏を伺いました。


3つの事業で動物医療の未来を切り拓く

ーー1sec.(ワンセク)の事業や組織について教えてください。

1sec.は、動物病院事業、動物病院向けの検査事業(細菌検査など)、教育メディア事業の3つの事業を展開しています。動物病院事業では、動物が好きで集まったスタッフたちが、その想いを活かせる職場環境と成長の仕組みを整え、日本一"やりがいのある職場"を創り、そこから動物とご家族に希望を届ける循環を生み出しています。また、検査事業では、動物病院が利用しやすい細菌検査サービスを提供することで、動物医療における耐性菌の増加という課題に立ち向かっています。メディア/教育事業では、飼い主・動物病院・求職者など、様々な立場の方々への情報提供を行うとともに、獣医療や経営学の教育プログラムを通じて、動物業界の情報格差解消に取り組んでいます。

組織としては、正社員30数名を含む総勢40名強の組織で、サービスプロフィットチェーンの考えを基盤に据えた、エンゲージメント経営を実践しています。スタッフの充実が顧客価値の創造を生み、それが業績向上やスタッフへの還元につながるという好循環を大切にしています。
(※サービスプロフィットチェーン:企業が従業員のやりがいを高めることでサービスや製品の質が向上し、その結果、顧客の満足度も改善して、その成果を再び従業員や組織に還元するという好循環を生み出す考え方です。)

ーーSHINYさんのお名前についても教えてください。

社内のメンバーには、「SHINY(シャイニー)」と呼んでもらっています。これは、私が自分で決めた呼び名なんです。未来の会社をイメージしたとき、「社長」や「豊田さん」といった呼ばれ方ではなく、よりフラットな関係性を築き、自分らしくありたいと思ったんです。やはり「社長」だと、少し硬くなってしまいますからね。

実際、会社に入ってきた1年目のスタッフも「SHINY」と気軽に声をかけてくれます。SHINYと呼んでもらうことで、より自分らしい経営ができているし、フラットな組織風土の醸成に一役買ってくれているように感じています。

ーー琉球ウェルネスとの出会いについて教えてください。

琉球ウェルネスとの出会いは、プロコーチの仲間が琉球ウェルネスとコラボレーションで企画したやんばるでのリトリートに、個人で参加したことでした。そこで体験したリトリートプログラムが、私にとってすごく印象的な体験だったんです。

この素晴らしい体験を、会社の仲間や家族など、大切な人たちにも味わってもらいたいと考えた時に、琉球ウェルネスのサービスを見てみると、組織開発も手がけていることを知りました。

ちょうど当社は創業10周年を迎え、組織をブラッシュアップする絶好のタイミングでした。これまでの10年間、役員2人で経営の意思決定を行ってきましたが、今後はスタッフたちと共に、未来の経営チームのビジョンを描きながら、リトリートと組織開発を同時に実現できれば、「一石二鳥」だと考えました。

非日常の環境がもたらす『気づき』とは

ーーSHINY さん自身が最初にお1人で「リトリートプログラム」に参加した時に体験して良かったことを教えてください。

全く新しい環境に身を置けたことですね。沖縄の空気の流れ、時間の進み方、そこで生活する人々や生き物たち—全てが都会とは違っていました。その経験を通じて、「自分の常識は、実は環境によって作られているんだ」という大きな気づきを得ることができました。

面白いのは、沖縄でのリトリートは都会に比べてアクティビティの数は少ないんですが、得られる情報量は都会と同じかそれ以上だったんです。私は普段から、刺激となる情報を求めてスマートフォンやパソコンをついつい触ってしまうタイプなんですが、デジタルデトックスをしても全く退屈さを感じませんでした。

自然のなかには、想像以上に多くの刺激があったんです。

山々の佇まい、地元のお年寄りの暮らしぶり、そこで売られているもの、郷土料理、焚き火...…。一つひとつは文字にすると大したことのない刺激かもしれません。でも、五感で感じる体験は非常に豊かで、デジタル機器がなくても十分に心が満たされたんです。この体験は私にとって、新しい発見でした。

この感覚を、仲間にも伝えたいと思ったのも、今回 会社で“Wellness Offsite”を依頼した大きな理由の1つでした。

経営チームの未来像を描く

ーーオフサイトはどのようなテーマで取り組まれたのですか。

オフサイトミーティングでは、3つの大きなテーマを設定しました。

まず一つは、「経営チームとは何か」について理解を深めること。もう一つは、「5年後の会社のビジョンをより鮮明に描く」ことです。そして、参加したマネージャーたちが、未来の自分に不足している要素に気づき、取り組むべき課題を明確にすることが目的でした。

前述の通り、これまで当社は、私ともう一人の役員の2人で経営を担ってきました。しかし、これから規模と社会的影響力が高まっていくフェーズに入る事を鑑みて、経営に関わるメンバーを増やしていきたいという思いがありました。そこで、まず私から経営チームに必要な要素や基本的な考え方を提示し、それをベースにマネジャー陣と一緒にブラッシュアップしていく形で進めました。

オフサイトを通じて、マネジャーたち一人ひとりに、理想の経営チームを実現するために「自分に何が足りないのか」「会社として何が必要なのか」に気付いてもらえたらと考えたんです。未来のチームを思い描き、そこから逆算して現在の課題を見つける機会にしたかったんです。

「自分」から「自分たち」の会社へ

ーーオフサイトで印象的だったことはありますか。

オフサイトの雰囲気としては、普段の会社とは異なり、やや緊張感があったと思います。印象的だったのは、オフサイトを終えた後、メンバーたちから「脳が疲れた」という声が多く聞かれたことです。私自身は普段から未来を考えるのが仕事であることもあり、未来を思い描く思考に慣れていたので大丈夫でしたが、他のメンバーにとっては相当なチャレンジだったようです。

「打ちひしがれた」「未来と現実のギャップに絶望を感じた」といった率直な感想を聞いて、正直驚きもありました。しかし、これは決して悪いことではないと思っています。5年後という時間軸で未来を語る中で、メンバー一人ひとりが自分に足りない部分を痛感し、変革に向けて自分の人生を見つめ直すきっかけを作ることができました。それはとても意味のある時間だったと感じています。単に目の前の仕事をこなすことと、5年後の未来を見据えて目の前の仕事に取り組むことでは、見える景色もコミットメントも大きく異なります。

また、経営チームに加わることを目指す、強い意欲を持った仲間たちと一緒に、会社の未来を語り合えたことは幸せでした。会社を立ち上げて11年目。これまで「自分」の会社だと思っていたものが、「自分たち」の会社へと変化していることを実感することができました。創業から10年、頑張ってきてよかったなってーー。この変化を肌で感じられたことは、私にとって最高の贅沢でした。

ーーオフサイトを終えて、組織やメンバーに変化を感じますか。

オフサイトを経て、メンバーたちにも私自身にも大きな変化が生まれました。


参加者たちがオーナーシップを持って自身の担当領域に取り組む姿が増え、未来から逆算して考え、より主体的に行動するようになりました。メンバーが真剣に考え、時には悩みながらも前に進もうとする姿を見て、私自身も以前より迷いなく仕事を任せることができるようになったのです。


特に印象的だったのは、メンバーの仕事への向き合い方の変化です。
以前は「忙しいけれどやらなければならないからやっている」という消極的な印象が垣間見えました。しかし今では、「これは絶対にやりたいから何とかする!やらなければならない」という強いオーナーシップを持ち、本質的な課題に向き合おうとしています。そのため、「他の仕事は後回しでいいから、この重要な課題に集中しよう」と私自身も前向きにサポートできるようになりました。


また、マネージャー陣が現在の自分が過去の自分とつながっていることに気づいたのも大きな収穫でした。過去の人間関係や失敗、場合によってはトラウマが、未来へのチャレンジを妨げることはよくあります。このオフサイトを通じてそのことに気づいたマネージャーたちは、未来のために過去の棚卸しを進めています。

ーー琉球ウェルネスに感じている価値や、琉球ウェルネスへの期待はありますか。

琉球ウェルネスのサポートで特に価値を感じたのは、入念な準備プロセスです。オフサイトの実施に先立ち、道廣さんと2週間に1回のペースでミーティングを重ねました。そこで、私たちの事業の特徴や組織の現状について、丁寧に整理していただきました。これにより当日の対話のための土台を築くことができ、オフサイトを有意義な時間にすることができました。

オフサイト当日のファシリテーションも効果的でした。私たちの対話を主体としながらも、要所で的確な要件整理をしていただき、時には率直な意見も投げかけていただきました。その絶妙な距離感のおかげで、私自身も進行を気にすることなく議論に没入することができました。

さらに大きな価値を感じたのは、事業と組織運営の両面で豊富な経験を持つ方に壁打ちしてもらえることです。私たちが直面している課題の「その先」を既に経験している方からのアドバイスは、非常に説得力があります。本には載っていないような実践的な知見、経験に基づく具体的なアドバイスに、大きな価値を感じました。

経営者向けの1on1セッションのようなサービスがあれば、より多くの経営者が経験則に基づく貴重なアドバイスを得られるのではないかと思います。

この記事が参加している募集