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『経営とは何か』の問いが導いた、意志ある経営への移行〜エンミッシュの“Wellness Offsite”事例〜

琉球ウェルネス広報担当のサオリス・ユーフラテスです。2022年の創業以来、企業の成長エンジンとなるマーケティングとセールス領域、業務成果の最大化をするIT領域を複合的にサポートしてきたエンミッシュ様に、琉球ウェルネスの“Wellness Offsite”を導入いただきました。

後追い型経営からの脱却を目指して――。創業3年で140社との取引実績を持つエンミッシュ。その急成長の裏側で代表の河原さんは、経営課題を抱えていました。3日間の非日常的な体験は、経営者としての在り方をどう変えたのでしょうか。その舞台裏について、エンミッシュ代表の河原さんにお話を伺いました。


「情報格差をなくし、ビジネスを楽しむ社会を創る」

――エンミッシュの事業や組織について教えてください。

当社は、企業の成長エンジンとなるマーケティングとセールス領域、業務成果の最大化をするIT領域を複合的に提供しています。現在、社員25名と業務委託スタッフを合わせて約100名で事業に取り組んでおり、主に3つの領域でサービスを展開しています。

1つ目はIT領域で、Salesforceを中心としたSFA、CRM、MA、BI領域のシステム開発から運用支援、保守まで一貫したサービスを提供しています。2つ目はマーケティング領域で、インターネット広告を中心に、新規顧客獲得のための各種施策の企画・運用代行など、マーケティング関連の支援を幅広く行っています。3つ目は営業支援で、BtoB企業向けにインサイドセールス、フィールドセールス代行、営業組織の構築支援を展開しています。具体的には、企業に代わって見込み顧客との商談機会を創出し、提供するサービスを手がけています。創業からまもなく3期目を迎えますが、すでに約140〜150社のお取引実績があり、着実に事業を拡大しています。

ーー河原さんについても教えてください。

僕は、OTCメーカーやサイバーエージェント、セールスフォースでの経験を経て、エンミッシュを創業しました。起業への思いは学生時代から漠然とありましたが、根底には「自己成長への強い意欲」があります。特にセールスフォースでは、1日に約5人の経営者とお会いする機会があり、経営者の方々の「挑戦の量」と「思考の幅」に触れたことも、大きな刺激となりました。指数関数的な成長を目指す上で、起業という道を選びました。

また、同じ努力をするのであれば、成長市場で挑戦する方が成果に結びつきやすいと考えています。僕自身も、そして会社としても、成長市場に軸足を置いて事業展開することを決めています。

急成長する組織の課題とは

ーー琉球ウェルネスに相談した背景について教えてください。

今年12月に3期目を迎えるタイミングで、経営に関する課題を感じていました。これまで僕自身、経営について体系的に学ぶ機会を持つことができないまま、日々の業務に追われていたんです。会社の未来についてじっくりと思考する時間の必要性を感じていた時に、サイバーエージェント時代の同僚であった福地さんから、琉球ウェルネスのサービスについてご提案いただいたんです。タイミングもサービス内容も自社の現状にマッチしていると考え、琉球ウェルネスに相談することにしました。

ーーどのような課題を感じていたのですか。

2022年の創業以来、幸いにも営業活動をせずとも顧客からの紹介だけで、およそ140社にまで取引を拡大することができました。組織の成長も順調で、1期目、2期目と仲間が増え、3期目にはさらに15名が加わり、業務委託スタッフを含めて総勢100名ほどの組織へと成長しました。

一見すると、顧客獲得も採用も順調に進んでいるように思えるのですが、実際は、案件をいただければ対応し、人が必要になれば採用するという、いわば「後追い型」の成長サイクルに陥っていました。会社をさらに成長させていくためには、このような受動的な成長モデルからの脱却が必要だと感じていたんです。また、急速な組織の拡大に伴い、僕の思いや声がメンバーたちに届いているのか、手応えも感じられなくなってきていました。

「経営とは何か」根源的な問いとの出会い

――オフサイトではどのような取り組みをしたのですか。

最初は、急拡大していく組織の方向性を明確にするために、「ビジョン」や「ミッション」といった抽象度の高い部分から着手したいと考え、道廣さんとの1on1でご相談させていただきました。しかし、そこで重要な気づきを得たんです。

現段階で僕たちに必要なのは、ビジョンやミッションの策定ではなく、より具体的な「経営戦略」や「中期経営計画」の立案だというアドバイスをいただいたんです。この気づきを踏まえ、「精神と時の部屋」というテーマで3日間のオフサイトプログラムに、僕と執行役員の2名で参加することになりました。

オフサイトでは、まず僕と役員との現状認識の共有から始めました。

これまで僕たちは日々の業務に追われ、お互いのことを深く知る機会もないまま、3期目を迎えていました。そこで、お互いの思考や価値観、それらが形成された背景にある経験について話した上で、具体的な戦略の策定に取り組んでいきました。

ーー3日間のオフサイトを通して気づきはありましたか。

オフサイトの最初に道廣さんから、「経営とは?」という根本的な問いをいただきました。

この問いかけを通じて僕は、経営者として基本的な部分の理解が不足していたことに気づかされました。この気づきは、自分自身がもっと努力しなければならないという強い決意にもつながりました。

僕自身、会社の成長と安定的な継続のために経営を行うという基本的な認識は持っていたのですが、それを実現するための体系的な考え方やフレームワークを持ち合わせていなかったんです。道廣さんにご提示いただいたスライドで、経営戦略、事業戦略、ビジネス戦略、達成戦略、組織戦略といった階層的な戦略構造を学び、それぞれの戦略と戦術の関係性について理解を深めることができました。

それにより、これまで漠然と考えていたことが、実は事業戦略だったり経営戦略だったりと、体系的に整理できるようになったんです。事前に用意されていたアジェンダの意図も腹落ちし、事業や組織を見る視座が一気に切り替わる感覚を得ました。フレームワークを学んだことで、自分の経営判断を体系的に捉えられるようになったんです。

「この状況では何をすべきか」と漠然と考えていた課題も、現状を的確に把握し、将来を予測した上で、意図的な施策を打てるようになりました。今でも道廣さんから提供いただいたスライドに立ち返り、思考を整理する機会が多いですね。

高まる視座と意志

――オフサイトの前後で変化はありますか。

オフサイトの前後で、経営に対する意識が大きく変化しました。具体的には3つの変化を感じています。

1つ目は、将来の構想と現在の施策を明確に結びつけられるようになったことです。「3年後、こういう状態になっていたいから、今これをやらなければならない」という思考ができるようになったんです。また、「なぜ今これをやっているのか」という問いに対して、「将来のこの姿を実現するために、今これを実行している」と明確に説明できるようになりました。

2つ目は、組織の各レイヤーに応じたコミュニケーションが取れるようになったことです。それぞれのレイヤーによって必要な視座が異なることを理解し、それぞれに適した形で方針や戦略を伝えられるようになりました。

3つ目は、僕自身の視座の変化です。これまでの僕は、経営者でありながら事業部長レベルの視座でしか考えられていませんでした。案件や事象の発生に応じて対応する「事業ビュー」が基本だったんです。しかし今は、「経営者」としての視座を持てるようになり、逆算思考に切り替わった感覚があります。

以前は「いただいた顧客ニーズに対応して仕組みを作る」という受動的なアプローチでしたが、今は「我々はこうなりたいから、今これをやるんだ」という意志を持った能動的な経営判断ができるようになったことは、大きな変化です。

――オフサイトで印象的だった場面はありますか。

美しい海に浮かびながら思考を巡らせるワークが印象的でした。経営者って、常に事業のことを考えていると思うんです。海に浮かぶという非日常的な空間で、脳を使っては休ませることを繰り返し、普段とは異なる思考のスイッチが入りました。あの感覚を身体が覚えています。

もう一つ印象的だったのは、一緒に参加した執行役員との時間です。焚き火を囲み、お互いの人生や生き方について深い対話を交わすことができました。お互いに自分の過去も包み隠さず話せたことで、人間としての本質に触れ合えたような気がして、思わず目頭が熱くなりました。経営チームとしての絆が、一段と強くなったと感じています。

自己開示って本当に難しいものです。だからこそ、この特別な体験を組織全体でも実現したいと思いました。ただ、この濃密な体験は、自社では決して作り出せないと感じているので、プロフェッショナルの方々に適切な費用をお支払いした上でお願いしたいですね。

問いを立て、言語化

ーー琉球ウェルネスにどのような価値を感じていますか。

決して安価ではないオフサイトですが、だからこそ僕たちも強いコミットメントを持って参加し、必ず何かを持ち帰ろうという意識で臨むことができました。海辺のヴィラという非日常空間で、まさに「精神と時の部屋」のように、経営と向き合う濃密な時間を過ごしました。

特に大きな価値を感じたことが3つあります。

1つ目は、経営の本質に気づかせてくれたことです。道廣さんの「経営とは何か」という問いかけは、僕たちの経営に対する理解の浅さを浮き彫りにすると同時に、体系的な経営の考え方を学ぶきっかけとなりました。

2つ目は、深い対話を生み出す場づくりです。焚き火を囲んでの執行役員との対話は、お互いの人生観や価値観に触れ合える特別な機会となりました。このような深い繋がりは、自社だけでは決して作り出せない体験でした。

3つ目は、「問い」を立てる習慣の獲得です。道廣さんの投げかける問いは、常に本質を突いていました。「仕事とは何か」「会社とは何か」――このような根本的な問いを立て、言語化していく過程でこそ、人の心の奥底まで響く言葉が生まれることを学びました。

3日間のオフサイトは、僕たちの経営における重要なターニングポイントとなりました。これからは、この学びを組織全体でどう共有し、実践していくのか。その挑戦を今始めているところです。

僕たちと同じように、組織の拡大フェーズにある経営者にとって、このような機会は非常に重要だと感じています。現場で起きている課題を、経営者自身が一番肌で感じているはずです。早めに相談することをおすすめしたいですね。今後も経営者が成長を続けていくなかで、定期的な対話の機会やアドバイスをいただける、メンターのようなサービスを提供していただけると嬉しいです。


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