箇条書きファスト小説『ハンバーグ』
・58年間連れ添った妻の四十九日を終え、菜食主義者だった妻に義理立てして50年間一切肉を口にしていなかった男がファミレスでハンバーグを食べる話
・男は妻を深く愛していたし、肉が食べられないことが嫌なわけではなかった。それでも妻が亡くなって、「これで肉が食べられる」と思ってしまう。男はそこに良心の呵責がある。
・同席した息子は早くに親元を離れていて、これが数十年ぶりの親子の食事である。息子はずっと肉を食べさせてくれなかった母のことを憎んでいた。初めてポテトチップスを食べたのは18歳の時。
・妻が『目覚めて』からの50年間、食事は有機野菜や豆腐を蒸したものと玄米、納豆だけだった。玉子や乳製品、動物性の油も一切摂らない完全な菜食主義、食品添加物も摂らない自然主義だった。
・妻はどうして亡くなったのだろう?真相は敢えて書かないが、何かを少しだけ匂わせる。
・食事が運ばれてくるまでのわずかな時間の息子との会話。贖罪と和解が描かれる。
・満を持して運ばれてくるハンバーグ。いかにそれが美味しそうか、たっぷり長文で描写される。
・ひと口食べたところで終わるのがいいんだろうなぁ。味やリアクションについてはどこまで言及するのが粋だろうか。50年振りにハンバーグを食べた老人はどんなリアクションを取り、何を言うだろうか。爆笑したあと号泣する、というのが浮かんだが、もう少しいい案がありそうだ。
・ラストのリアクションは息子の視点で書く方がいい気がする。そこにいい感じに持っていくために、段落ごとに老人の主観と息子の主観とで交互に書く手法が使われる。老人視点でハンバーグがいかに美味しそうに見えるかが描かれたあと、それを食べた老人の表情の変化、リアクションは息子視点で描かれる。
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