お婆さんになっても、食べられる胃でいたい
お婆さん集団に感激!
先日、品川駅前のアンナミラーズで食事をする機会があった。祝日だったので、店は激混みで、店の外に長蛇の列ができていた。空腹だったし、下の階のマクドナルドはもっと混んでいたので、仕方なく、カップルや友達仲間の中で、私はひとりぽつんと列に並ぶことにした。
どうしてひとりなのかって。私は最近、時間の融通がきく派遣で働くことにしていて、その日はちょうど短い業務を終えたばかりだったからだ。祝日に働きに来ると会社に喜ばれるし、満員電車も避けられる。
ウェイトレスさんは春からバイトデビューしたばかりの高校生のような女の子だった。手順が悪くて、列にきちんと並んでいた私は飛ばされた。列を飛ばされたことを話しに行くと、ウェイトレスは手順が悪いわりに、度胸だけはあって、私に向かって「きちんと並んでいなかったお客様が悪いんです」と言ってきた。びっくりした。こちらは失礼な言葉で訴えに行ったわけではなく、むしろ腰低く言いに行ったのに、返された言葉がこれだ。イマドキの高校生は手ごわい。
こうなればと、私も頭を捻った。
先頭の列のお婆さん団体が呼ばれて店内に入った隙を狙って、私は先頭の待合の椅子に滑り込んだ。そしてそこには腰かけずに、近くにいた別のウェイトレスさんに向かって、列を飛ばされていたことを訴えた。もちろん今度も丁寧な言葉遣いで。
今度のウェイトレスさんは私と同じくらいの中年で、彼女はびっくりしたような顔で店長を呼びに走っていき、飛んできた店長さんはメニューを手に申し訳ございませんなどと謝りながら、私を店の中へと通したのだった。
結局、私は列を大幅に飛ばして案内されることになった。隣の席にはさっき案内されたばかりのお婆さん集団が、座ってメニューを広げていた。楽しそうに笑い合い、歳をとってもあんなふうに友達がいていいなあと思った。
私が注文したのは上記の写真にあるハンバーグ。見た目よりも実際は小さくて、ほっとした。隣のお婆さんたちが頼んだのは、大きな二枚重ねのパンケーキに、フレンチフライがついたクラブハウス・サンドイッチに、この店の名物でもある一切れが大きなパイやケーキにと、どれもボリューミーなものばかり。彼女たちは易々とそれらを平らげていく。笑いながら楽しそうに、口の中に滑り込んでいくスウィーツを横目で盗み見ているうちに、彼女たちへの尊敬の念が私の胸に広がった。
歳をとっても、あんなに丈夫な胃を持っているなんて羨ましい。友達がいて、丈夫な胃に、健全な食欲。なんて素晴らしい老後なのだろう。私もあんなふうになっていたいな。
友達は最近になってようやく増えてきた。けれど食欲は年齢とともに衰えてきたのを感じている。アンナミラーズのケーキやパイは今の私にはちょっと重い。これからは、隣のお婆さんたちを見倣って、もう少し胃を若返らせることを目標にしたい。
食欲こそ生きることの原点なのだからね。