帰り道の松葉杖
昨日の帰り道、松葉杖をついて歩いている人を見かけた。どうやら脚を怪我しているらしく、右脚にはギプスが巻いてあった。松葉杖。松の葉のような形をしているから松葉杖と言うわけだが、なるほど確かに松の葉のような形をしているものだなぁと感心した。
更に歩いていると、こうもり傘を持った人を見かけた。そういえば昼間は雨が降っていたのだった。こうもり傘。こうもりのように真っ黒な色をしているからこうもり傘と言うわけだが、なるほど確かにこうもりのように真っ黒だし、たたんでいると天井にぶら下がったこうもりのように見えるものだなぁと感心した。
更にしばらく歩くと、コンビニの前で若者が数人たむろして酒を飲んでいる。中の1人がビンの酒をラッパ飲みしていた。ラッパ飲み。ラッパを吹くようにビンを咥えて飲むからラッパ飲みと言うわけだが、なるほど確かにラッパを吹いているみたいだなと感心した。
更にもうちょっと歩いて細い路地に入ったところで、両手に亀の子たわしを持って立ち塞がるおじいさんがいた。亀の子たわし。亀の子どもみたいだから亀の子たわしと言うわけだが、なるほど確かに……いや、亀の子ってこんなにもしゃもしゃしてるものか?それ以前になんでこのじじいは両手に亀の子たわし持って狭い夜道で立ち塞がってんねん!完全にヤバいやつやないか!僕は身構えた。
身構えた僕に向かって、じじいは手に持った亀の子たわしで殴りかかってきた。しかしテレフォンパンチだったので何とか避けることが出来た。テレフォンパンチ。まるで事前に電話で「今から行くよ」と言っているかのように予備動作が大きくて避けやすいパンチのことを言うわけだが、なるほど確かに避けやすいものだと感心した。じじいの亀の子たわしパンチを避けた僕はスマホで110番通報をした。あまりお世話になる機能ではないだろうが、スマートフォンで警察に通報すると、スマホの位置情報から警察にも現在位置を共有出来るようになっている。なるほど確かにスマートな機能だと感心した。