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B2BビジネスにおけるABM実践事例-ベルフェイス編-

昨年12月、弊社ではミドルマーケットの開拓をミッションとする、新ABMチームが発足しました。担当は私含め2名(後に増員)。そしてこれを書いている2021年3月中旬時点で、一定の成果と考察が見えたので、以下に該当する方へ向けてシェアします。

・B2Bマーケ/営業担当者
・コロナ禍において新規案件獲得に困っている方
※ABMについてはこの記事がわかりやすいです

要約

【課題】
2021年3月末までの受注が期待できる、従業員数1,000名規模エンタープライズ企業の案件を獲得すること。並びに4月以降の大型案件受注に向けたパイプラインを構築すること。そしてPMFをより強固なものにするため、2000社のターゲット企業に対して広範囲にアプローチを展開すること。
【問題点】
コロナを要因としたターゲット(企業の担当者)の在社率低下と、それに伴うコンタクト率の低下が予測されること。当初担当者2名という少ない社内リソース。
【仮説】
上記問題点から、自社が実施してきた既存の手法では、期待する成果を挙げることは困難だと考えた。またオンラインを起点としたWEBマーケ中心の手法は、成果が長期化すること、各社競争率が高いこと、社内リソースの問題から実現不可能だと判断した。
【方法】
そこで選択すべき方法の条件は、現在の外部環境下でも高いコンタクト率が期待できるかつ、短期間でアクションできる、そして競争率の低い手法だと仮説を立て、DM(手紙)でのアプローチを選択した。詳細は以下。
【結果】
現時点でおよそ3,000社へのアプローチを実現し、0.7%のCVRで案件の獲得に至り、このCVRは現在も向上傾向にある。
【考察】
成功の要因は仮説のフィットとターゲット属性の特定、そしてそのサイクルの短さ。課題はナーチャリング手法の確立。

ここからは上記要約に関して、少し詳しくお伝えします。

課題
冒頭で述べたように弊社で2020年12月に発足した新チームには、以下の課題が与えられました。2021年3月末までの受注が期待できる、従業員1,000名規模のエンタープライズ企業の案件を獲得すること。並びに4月以降の大型案件受注に向けたパイプラインを構築することです。またこの背景には、自社商材のPMFをさらに強固なものにするための、テストマーケティングとしての要素もありました。そのため3月末時点で2000社のターゲット企業に、アプローチを行い、その反響を集積することも求められました。

問題点
この1-2年、コロナ禍における在宅勤務率の上昇、そしてそれに伴うターゲットへのコンタクト率の低下が、多くのB2Bマーケターや営業担当者を悩ませています。この外部環境の中で、期待される成果を挙げることは当初困難でした。加えて、このチームにアサインされた担当者は、私含め2名ということも、打ち手の選択肢を狭める原因になりました。

仮説
上記問題点を踏まえ、選択すべきより良い方法の条件を【現在の外部環境下でも高いコンタクト率が期待できるかつ、短期間でアクションできる、そして市場競争率の低い方法】だと仮説を立てました。

方法
仮説に基づき選択した方法はDM(手紙)でのアプローチでした。これは自社での成功事例もあったものの、従業員数が数千名規模の企業を対象に、精緻な文面を構成し、1週間に20通程送付する手法であり、これは私達のチームが課せられた課題をクリアするためには、適しませんでした。そこでこの方法をアレンジし、手紙内容の質は一定に保った上で、1週間に数百件程送付する方法を試すことにしました。(※1)

※1 この方法を試す上で、かねてより交流させていただいているヤプリの小林さんから、多くのヒントを頂きました。いつもありがとうございます!

具体的には以下です。

1.
社内顧客情報から案件化率の高い(企業によってここにどの値を組み込むかは異なる、継続率やLTVの高い業界などが候補に上がる)属性を特定。
2.
該当業界の企業リストをFORCASでExcelへエクスポート。
エクスポートした項目:送付先住所、代表者名、特色、業界
3.
抽出した企業に所属し、自社のターゲットとなる個人(多くはターゲット部署の管掌役員または代表取締役)を、企業HPやSNS、IR情報から特定しExcelの企業リストへ保存。
(このときソースとなった情報のURLも併せて保存しておくと良い)
4.
Wordで手紙の本文を作成。Wordの差し込み文書機能を使い、Excel上のデータを手紙本文に差し込む。
5.
本文データの誤字/脱字をチェック。
6.
手紙を印刷、封入し郵送。
先方からの反応を待ちつつ、次の手紙作成業務を実施。
7.
1に戻る。

これで毎週約500通の手紙を送付していました。

結果
当初の目標を大きく越え、現在約3,000社へのアプローチが完了しました。そしてそのうち約0.7%が案件化し、パイプラインとなっています。(驚くべきことに、その多くが手紙を受け取った先方企業からの発信です!)

考察
上記成果の要因は、仮説がフィットしたことや、後の人員拡充等いくつか考えられますが、特に重要だと考えられるのは方法1の作業です。自社の活動の結果から、案件化率の高い属性の特定とそれに基づいたリストの作成を、なるべく短いスパンで繰り返すことで、初期のアプローチの段階から精度の高いターゲットを作成することができ、その精度も日に日に高まっていきます。(過去の私であれば、属性分析のサイクルが長く、分析する属性の要素も少なかったです)

そうなれば自社の担当者は最小限のリソースで成果を創出でき、お客様も無駄な提案を受ける機会が減ります。

さらには市場の変化をタイムリーに捉えられるというメリットもあります。特にマーケティングに携わる方であれば、実感されているかと思いますが、直近1-2年の市場の変化は劇的です。これまで見向きもされなかった商材が、突然脚光を浴びるということが当たり前に起こります(もちろんその逆も)。その市場の変化をタイムリーに捉えることができるこの手法は、手紙でのアプローチに限らず、全ての営業活動において使われるべきだと個人的には考えています。

また一定の成果を得た上記方法ですが、未だ改善の予知は多くあります。
特に挙げられるのはアプローチ済み企業のナーチャリングです。手紙を使ってアプローチした企業のうち、反応がなかった企業が9割以上です。この中には、自社の目線で2つの属性があると考えています。

1つは自社の商材と、先方企業のニーズが絶対にフィットしないパターン(弊社であれば営業活動を実施しない企業等です)。もう1つはフィットの可能性はあるが、時期が合わないパターン。前者に関しては、我々のターゲティングを更に改善し、アプローチをしない必要のある属性です。しかし後者に関してはナーチャリングの価値がある属性です。

しかし現状実施しているナーチャリングの方法は、封書の中に既存の自社セミナーのチラシを封入するくらいです。もちろんアプローチ先の担当者の情報が限られているため、実施できるナーチャリングの手法は限定されます。しかしその中でも、それを実現する方法はあると考えています。現在はこれを更に改善するため、属性にフィットするセミナーの企画やコンテンツの作成に着手しています。

感謝
最後に、この記事を読んでいただいた皆さんと、このチームに携わってくださった社内の皆さんに感謝を述べます。

弊ABMチーム
・清田さん
ざっきー@ベルフェイス
けんき

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