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「春の背広」
人に趣味を訊かれて、間違っても読書とは言えないが、
そんな自分でも、幾度となく読み返す書物が何冊かある。
今回はそのなかの1冊の紹介。
「沢木耕太郎」
言わずと知れた著名なノンフィクションライター、作家だ。
学生時代は、まったくピンとこなかった彼の文章が、
ここ4~5年ほど前から、興味深く感じられるようになる。
「深夜特急」は言わずもがな、「テロルの決算」「一瞬の夏」
彼しか書けない世界が、そこには広がっている。
しかし、とりわけ、自分がことあるごとに読み返す一編は、
「象が空を」というエッセイ集の中にある。
そのエッセイ集の最後の一編「春の背広」は、沢木氏の自叙伝的な作品。ああ、私もこうありたかった、と思わせる彼の大学時代の一時期を、瑞々しい感性であぶり出した作品だ。
おそらく彼の作品の中では、それほど重要視されてはいないと思う。でも、自分には、どうしても見過ごすことのできない作品なのだ。(続きは短い私的な感想になります)
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