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梅本龍/個人制作作家
2024年4月25日 10:12
第1話「星田勇気」 直接青いセロハンを貼り付けたような空からの強い光と、季節を前倒して衣替えしたばかりの制服が、ものすごく強いコントラストを生み出しているから思わず目を細めてしまう。高校生になって初めてのゴールデンウィークを終えた教室では、窓際の席に座る僕の所にもあちこちからウキウキした声が聞こえてくる。「ねぇユウ、あっという間に6月になっちゃうよー。どう、高校生活は? 好みの女子はいた?
2024年7月23日 23:59
あらすじ・第1話・目次はこちらから最終話「青空に雨」「いいじゃん、花火大会! ね、愛ちゃん」「わたしもいいの? 嬉しい!」 錦織が提案してくれた花火大会。次の昼休み、小川と長谷川さんを誘ってみると、2人はとてもよろこんでいた。そっか、錦織にとってみたら、長谷川さん1人を誘うより、こうやってワイワイ出かける感じのほうが誘いやすいってことだったのかな。でも……「来月かぁ。わたし浴衣着
2024年7月22日 23:35
あらすじ・第1話・目次はこちらから第5話「錦織大和」 小さな頃から人の気持ちとか、空気とか。そういうものを妙に感じ取ってしまうところがある。大人からはよく『男の子なのによく気がきくね』なんて言われて、いろんな意味で面白くなかった。そして都合よく動く俺に『いい子だね』とお菓子とかお小遣いとかをよこす大人のつまらない部分が見える自分を嫌った。 だから、あの時は本当に驚いた。 小学5年の
2024年7月10日 09:42
あらすじ・第1話・目次はこちらから第4話「小川渚沙」 わたしは最近気になっている事がある。高校に入ってからの友達である愛ちゃんが、時々星田勇気と二人でコソコソ話しているのを見かける事だ。 星田勇気ーーユウは同じ中学出身で、中二の時に同じクラスになった。たまたま席が隣になった事が一度だけあって、そこから何となくちょっかいをかけている。 ちょっかいを出されているわけではなくて、出している
2024年6月9日 12:26
あらすじ・第1話・目次はこちらから第3話「尾上陽太」 定期テスト一週間前。部活も休止期間だから、バスケ部の錦織大和は物足りないと文句を言ってたけど、高校入学後最初のテストなんだし、気合い入れた方が良いんじゃないのかと言ったら納得したようだ。 今日からユウと大和と三人で帰る約束をしているわけで、俺は部活のない日もそれなりに楽しみだ。「お、ユウ、あんなところでぼーっと待ってるじゃん」「
2024年4月26日 08:37
あらすじ・第1話・目次はこちらから第2話「長谷川愛」「あれ、星田君。やっぱり一人なんだ」 金曜日の放課後、昇降口で靴を履き替えていたら横から女子の声がした。長谷川さんだ。「……長谷川さんも一人なの?」「今日は渚沙が委員会でね、私は習い事があるから先帰るの。星田君、お家どっち?」「駅の向こう側」「私、駅から電車。駅まで一緒に帰らない?」「……いいけど」 なんだか謎の流れだ