僕のレコード棚 ㉑〜㉚
㉑企画 『松田聖子 / SUPREME』
80年代の音楽業界の話を聞くととても羨ましく思う事がある。それはお金の事。制作も製作も、音楽をやるにはお金がかかるんです。バブルだった日本には潤沢にその資金があり面白い企画モノも沢山リリースされてます。
これは僕が唯一持っているアイドルのアルバムかも。とは言っても松田聖子は歌っておらず全編オケによるインスト。アレンジは三枝成彰さん。三枝さんと言えば個人的に外せないのはZガンダム。Zでの三枝サウンドはどこか宙を彷徨う感じが独特で今聞いても良いなと思います。このアルバムでも随所にそのサウンドが聞けて楽しめました。86年リリース。
87年のNHK特集『鳥取砂丘 風紋』の音楽が最高なんだけど、それも三枝さん。これリリースしてくれないかな。
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㉒変化と多様性 『BOB MARLEY&THE CHINEKE! ORCHESTRA』
ある音楽をきっかけに今まで聞いてこなかったジャンルに興味を持つ事があります。僕は幼き頃『ゴーストバスターズ』のあのテーマ曲を聞き洋楽自体に興味を持ちました。
さてこのアルバムですが、凄い事になっています。Bob Marleyの音楽をベースに大編成のストリングスが乗っています。しかもカバーではなくオリジナル音源を使って再構築されています。ここすごくポイント高いです。
新たに加えられた弦パートを演奏しているのは黒人を中心に民族的に多様な音楽家からなるCHINEKE! ORCHESTRA。クラシック音楽における変化と多様性を称える彼らは今までクラシック音楽を聞いてこなかった人達にクラシック音楽を聞いてもらえるよう活動しています。もちろんこのアルバムを聞いてクラシックに興味を持つ人は出てくると思うし、逆にレゲエに興味を持つ人も出てくるんじゃないかな。
ところで『I Shot The Sheriff』を最初に有名にしたのはBob MarleyではなくEric Claptonだと聞いた事があるのですが、本当なのでしょうか??
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㉓自由な発想 『Sam Gendel / Fresh Bread』
テクノロジーの発展と共に音楽制作の環境も変わり続けてます。ひと昔まえなら大変だったMIDIの配線なんて今はUSBケーブルを挿しておわり。実際に曲作りに使うツールもだいぶ変わり、自分の直感的なアイデアを形にするのは以前よりかなり簡単になりました。パッと浮かんだものをメモを書くように作曲ソフト上で展開させる事が出来ます。
Sam Gendelの音楽は型にとらわれない自由な音楽だなといつも思います。その特徴はジャンルや曲の構成などに限らず音像にも感じます。色々なタイプの音が共存している様に僕には聞こえます。きっと好きな古い機材、新しい機材がありそれを使いこなしているんだろうな。彼はマルチに色々な楽器を演奏しますがメインはサックス。そのサックスにもすっかり彼のトレードマークの様になったエフェクトがかかっていてこれが心地良いです。
テクノロジーの発展により大きいスタジオに入らなくても個人で何でも完結できる様になった結果、今まででは実現出来なかった自由な発想の音楽が沢山生まれ始めた気がします。
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㉔シンセの個性 『George Duke / FACES IN REFRECTION』
知る人ぞ知る、僕はシンセサイザーマニア。あまりJazztronikの曲には登場しませんが、結構な数のアナログシンセに囲まれて生活してます。
特に昔のシンセは自身での音作りが基本なので音色に個性が出ます。『良い音出すなぁ』と思う人は何人かいまして、その内の1人がGeorge Duke。JazzからDiscoまで幅広いジャンルで活躍した才能溢れるアーティスト。僕は彼が出すシンセ音が大好き。特にこのアルバムでのシンセ音は最高。
20年ほど前George DukeがBlue Noteでライブをした際インタビューをした事があります。マニアックなシンセの話ばかりしたらすっかり気に入られ、なんとアンコールで『さっきインタビューに来た若いヤツ、ステージ上がれ!』と呼び出されました。
ど緊張しながらステージに上がると『俺と同じフレーズを弾いてみろ!』と言われたので必死でついていきました。でも最後に高速モントゥーノを弾かれそこで挫折。オチがついてステージも大盛り上がり。めでたしめでたし。
#georgeduke #シンセ #シンセサイザー #bluenote #synth #synthesizer
㉕職人 『Mizell Brothers / MIZELL』
職人的な仕事をする人達が手がけた音楽が好きなんだなと常々思う。音を聞くと『あ、これは誰々が関わってるんじゃないかな?』と個性と匠の技を感じる音が好きです。
実はBlue Noteの王道ジャズ路線は20代の頃あまり聞かず主に好きなのはLAシリーズと呼ばれる作品でした。当時はレコ屋に週一で通い店員さんと情報交換。ある日『野崎くんMizell Brothersって知ってる?』と聞かれたのですが当時僕はまだその名前を知らず、色々と教えてもらい、そして見事にハマるのでした。
Mizell Brothersはその名の通り兄弟音楽プロデューサーユニット。彼らが関わる作品が全てカッコ良い。ドラムの音色から楽器の使い方まで、斬新でハッとさせられるパートが曲の中に幾つも散りばめられている。
これはそんな2人が関わった作品の中から選りすぐりの曲を集めた2005年リリースのコンピ。ジャケ裏には二人のご両親の写真。”Dedicated to our parents”と記載されてるのが素敵です。
そういえば、結局Mizellの読み方はミゼル、マイゼル、どっちなんだろう?
#mizellbrothers #bluenote #ブルーノート #jazz #laシリーズ
㉖シナソ 『笠井紀美子with Herbie Hancock / Butterfly』
『シナソ』と聞き何の事か分かったアナタは40代以上の業界人とお見受けします。"シナソ"とは信濃町にあったソニースタジオの事です。
笠井紀美子with Herbie Hancock は擦り切れるほど聞いたアルバム。錚々たるジャズマン達が参加したこの名盤は配信されていないのですね、もったいない。録音場所はCBS/SONY Studio, Tokyo。完成したばかりの"シナソ"で1978年10月に録音されたようです。日本でこんなカッコ良いサウンドで音が録れるのかと驚きました。なので"シナソ"にはかなり憧れがありました。
残念ながら僕が自由にスタジオを選べる様になった頃には"シナソ"は手放され乃木坂に移り『ノギソ』になってしまったのです。
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㉗B面 『Michael Naura / Vanessa』
アナログを作る際曲順にほんと悩みます。レコードは内側へ行くほど音がちょっと悪くなるので。A面B面に関しては当然A1にアーティストの1番の推し曲が来てるだろう、と思いがちです。
が、B面の方が良いと感じるアルバムも意外とあります。この『Michael Naura / Vanessa 』はまさにそれ、僕にとってはですよ。A面も好きではありますがB面は全部カッコ良い。エレピとヴィブラフォンのチルなB1から始まりB2の不思議なビート、B3のクラシカルな雰囲気を持つJazz funk。ECMなのにドラム重っ。最高です。
そういえばRavelのBoleroは曲の特性を活かす為内側から聞くレコードがあるって聞いた事があるな。
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㉘ブラジルブーム 『TRIP DO BRASIL』
その昔、サバス東京というブラジル音楽のライブを楽しめるお店が神宮前にありました。ある時Edu Loboがそこでライブをやるというので楽しみにしてたのですが体調不良でキャンセルに。代わりに登場したのは全く知らないブラジル人女性ボーカリスト。
しかし彼女のパフォーマンスが素晴らしく、ライブ後話しかけ仲良くなりました。「お父さんもミュージシャンで中々良い感じだよ」と言うのでいつか紹介してよ、なんて談笑してたのですが、よくよく聞いたらお父さんはJoão Gilbertoっていう人だよと言われ震えました。彼女はBebel Gilbertoだったのです。25年ほど前の話。
その頃はブラジルブームでいろんなコンピがあったな。このコンピは直球ブラジリアンではないけどJoe Claussell / Agora e Seu Tempoには『こういうダンスミュージックもあるのか』と衝撃を受けました。常にレコードバックに入れてたのでボロボロです。
#ブラジル #brazil #joeclaussell #agoraeseutempo #bebelgilberto #joaogilberto #edulobook #brasil #ダンスミュージック
㉙禁断の書 『Ultimate Breaks and Beats』
サンプリング出来るカッコ良いビートを求めて一体幾ら費やしたんだろう。時間もどの位費やしたんだろう。レコード棚を眺めて思う。
僕としてはまだ無名のレコードの中からサンプリング出来る部分を見つけた方が達成感はある。いらゆる自己満足。でも自分が求めてるものに中々ならなかったりする。『あの曲のあんな感じのビート』という目標があったりするとなおさら。
そんな時ついつい手を伸ばしてしまった禁断の書がコレ『Ultimate Breaks and Beats』。カッコ良いビート満載。夢のAmen Breakも。なぜかこのコンピではアーメンブレイクの部分だけbpmがオリジナルより遅くなる。まあ、そんな事はどうでも良い。あのアーメンブレイクが手に入ったのだから、と興奮したものです。
それなのに、未だにアーメンブレイクには手を出してない。なんとなく。
Amen Breakについて語った動画を少しYouTubeにアップしたので是非見て下さい!
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㉚Techno God 『Ken Ishii / GARDEN ON THE PALM』
Clubミュージックに大きく興味を持ったきっかけはTechno。とにかくTechnoが好きでした。YMO的な音は当然好きでしたが、1番のきっかけになったのはKen Ishiiさん。
大学帰りのある日、僕の主な情報源だった池袋WAVEに立ち寄ると派手なポップ付きで日本人のTechnoが大推薦されてました。それがこのGARDEN ON THE PALM。海外レーベルがなんちゃらかんちゃらと書かれてましたが、とにかく音がカッコ良すぎて即買い。Ken Ishiiサウンドに影響を受けた僕はひたすらTechnoアーティストになる事を夢見て突き進むのでした。
こないだその頃作っていた曲のDATが沢山出てきたので聞いてみたんだけど、どテクノで自分でも驚きました。まだ1曲もそういうのリリースしてないな。
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