10/21〜25の日記
10/21
一日中原稿を執筆していた。書いても書いても納得がいかない。書いては消してを繰り返しているうちにいつの間にか日が暮れていた。自分の書いた文章を誰かが読むと想像しただけでピンと背筋が伸びる。ありがたいことに執筆の依頼は増えていて、それはもうライター冥利に尽きるものだ。だからこそ、想像を超えたいと思うし、がっかりはさせたくない。知らぬ間に肩に力が入っていて、PCが真っ暗になった時に映った自分の顔は酷く歪んでいるように見えた。ああいけない。このままでは良い文章は生み出せない。気を取り直すために外をお散歩。金木犀の木がある場所をめがけてひたすら歩き続ける。金木犀の香りが鼻の中に入ってきた瞬間に、ふと我に返った。いつだってお散歩は自然体の自分を作り出す。大地を踏み締めるとき、空を眺めたとき、植物の香りが鼻の中に入ったとき、それら全ての体験が今まさに生きているという実感を運んでくる。だが、結局夜までに原稿は書き上がらず、ファミレスにて原稿を完成させた。今日は一日原稿に向き合い続けていた。慣れないこともあるけれど、少しずつ良い文章を書けるようになりたい。
10/22
連日原稿の納期に追われている。今月は残り2本の原稿を書く必要がある。取材は楽しいけれど、文字起こしの自分の声を聞くのが苦手だ、昔から自分の声を好きになれない。そういえば数年前に出会った画家の方が僕の声を褒めてくれたことがあった。良い声をしているから声の仕事をした方がいいと言ってくださったのだが、あの言葉の真意がいまだにわからない。何度聞いても自分の声の良さがわからないし、聞けば聞くほどに気持ち悪いという感情が芽生えてくる。いつか自分の声を好きになれる日はやってくるのだろうか。今のところその気配は微塵もないけれど、いつくるかわからない「いつか」をずっと待ち侘びている。
10/23
朝からいくつかのMTGに出席し、昼以降は残っている仕事に向き合った。仕事をしている途中に突然悪寒がした。体に何か異変が起きている。連日の無理が体に支障をきたしているに違いない。だが、目の前の仕事を終わらせなければ、安息はやってこないのも理解している。うまく体を誤魔化しながら仕事を進めるが、どんどん悪寒が強くなっていく。仕事を休んだのはいつだったかを覚えていない。急な依頼にNOと言えないまま日々だけが過ぎていく。人間は寝溜めができない生き物だ。寝溜めしたと思っていても、過去の睡眠不足を埋めているだけのようだ。加えて、たくさん睡眠を取ったとしても、そこにも体力が消費されている。睡眠は体にとって薬になる場合もあれば毒になる場合もあるということだ。今月末は休暇を取れそうな気がするので、どこかで1日休暇を取りたい。それまで体がもってほしいと思いはするものの、おそらく明日に体調を崩しているのだろう。こういった時の勘は恐ろしいほどに当たる。当たらなくていいのに当たる。人間は適度な休暇と適度な仕事が性に合うようにできているのだろう。明日は体調を崩しているだろうからどこかで埋め合わせをしようと思う。ああ、考えているだけで嫌になってきた。
10/24
昨晩から体がだるくて仕方がない。目を覚ますと頭痛が襲ってきた。起きたいけれど、体が重すぎて起きることができない。原稿の納期が迫っているため、仕事に穴を開けるわけにはいかないのだが、今日は足掻いてもダメだった。寝て起きての繰り返し。病院に行こうと近くの病院を調べたけれど、どこも営業時間外だった。このだるさとできるだけ早くさよならしたいのに、何にもうまくいかない。天井を見つめながら倦怠感と闘い続けているだけで、1日が終わりを迎えていた。そんな日もあるさと切り替えられればどれほど楽になるのだろうか。明日こそは病院に行きたい。今日はダメだ。もう諦めて眠りにつこう。
10/25
朝目を覚ますと体が少しだけ楽になっていた。お昼過ぎに起きて、耳鼻科へ足を運ぶ。喉はなんともないが、鼻の中が赤いらしく、鼻風邪だと診断された。医師から睡魔に襲われるけど即効性のある薬と効き目は弱いけど睡魔に襲われない薬のどちらがいいかを尋ねられたため、間髪を入れずに前者をくださいと伝えた。季節の変わり目は、特に体調管理に気をつけようとずっと思いながら生きている。だが、それがうまく行った覚えはほとんどない。最近体調を崩していなかったから調子に乗っていたのかも。一歩進んで二歩下がっている。これは成長とは言えない。むしろ同じ場所を彷徨い続けている。32年も付き合っているのに、いまだに自分の体のことがわからない。人生はフルマラソン。ずっと走り続けられるわけもない。適宜休憩を挟みながら、ゴール地点へと向かう。走り方を間違えた途端に不必要な休憩を取らされるのがオチ。原稿の納期に追われているため、ファミレスへと足を運ぶ。深夜のファミレスはPCと睨めっこしている人が多い。そこに安心感と危機感を覚える。深夜まで仕事をしているのは普通じゃない。余裕を持って生きたいのに、皆何かに追われている。金晩は街が明るさを取り戻す。それなのに、僕たちは深夜のファミレスで仕事をしている。何かがおかしい。いや、おかしいのは僕のほうか。
体調不良に悩まされた5日間だった。健康は大事だと理解しながら、なぜ無茶をしてしまうのだろうか。本当に自分のことがわかっていないし。やりたいという欲求に負け続けている日々だ。季節の変わり目は特に気を付ける必要があるのに、なぜ学ばないのか。まあでも終わったことを嘆いても仕方がないので、切り替えて目の前のことに全力で向き合っていきたい(学べ)。