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とある夕方のこと
散歩を日課にしている。仕事中は音楽が欠かせないのだけれど、散歩中は外気音をBGMにしている。その際は考え事をしない。頭の中を空っぽにして歩くのはとても心地が良いことだ。
街を観察しながら移り行く景色をただ楽しむ。新しいお店ができているといった発見やずっと通っていたお店が閉店になったとか何かが目に入るたびに感情が揺れ動く。空を見上げると季節の移り変わりを感じる。日中の日照時間は少しずつ短くなっていく。日々仕事でどこかにこもっているため、散歩中の日光浴の時間はとても貴重だ。植物と同じように光合成をする。もやもやとした悩みさえもどうでも良くなっていく。
移り行く景色の中で、それまで緑で生い茂っていたいた木々が丸裸にななっていることに気づく。寒くないだろうかと少し心配にもなるけれど、新陳代謝を繰り返して、木々はぐんぐんと成長していくため、余計なお世話なのかもしれない。東京には緑が少なく、誰かが植えたであろう人工的な並木道が多い。だが、大阪にはない景色も溢れている。夏は紫陽花が街を覆い尽くしているし、高層ビルに囲まれた中で見る緑は心が落ち着く。生き急いでいる自分にもう少しリラックスしていいよと声かけをしてくれているようにも感じる。
散歩は同じルートだけだとつまらなくなる。そのため、日々コースを変えている。これは人生にも同じことが言えるのかもしれない。日々新しい何かを取り入れる。その変化があるからこそ、僕の人生は充足していくのかもしれない。思えば、上京したのも自分を変えたいと思ったのがきっかけだった。大阪でも楽しい日々を過ごせていたのだけれど、それだけでは物足りなくなっていた。人間の欲求とは末恐ろしいもので、何かを手に入れた瞬間に、また何かを欲してしまう。新しい何かを求めて上京を果たした。もう少しで1年が経つが、新しいものにたくさん触れられる今の上京は楽しくて息がしにくい。
心地よさを求める人生もいいだろう。だがそれだけではつまらないと飽きが生じるのも人間の性である。刺激と安心、そちらを取るかは本人の自由だ。僕は前者を選んだに過ぎない。自分の現状に感謝の気持ちを忘れないのはもちろんだが、移り行く景色を愛せる人間でもありたいと思った。川沿いにいる鳥が羽ばたいた。その姿を見て、自分も羽ばたけるように頑張ろうと決意したとある夕方のこと。
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