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夏のせい

居酒屋を3件ほどはしごしたあとに、友人の好きな人を酒の勢いで抱いた。事後、罪悪感と虚無感に襲われ、土井しょうもない自分を責めたくなった。

彼女に「最低だね」って言ったら、「でも今幸せじゃない?」って返ってきた。なんて返答を返せばいいのか困惑した結果、「幸せだよ」としか言い返せなくて、顔を見られるのも嫌になって、布団で顔を隠した午前3時。

あいつにしか見せない顔。特別な君を垣間見た瞬間だったでも、その顔を見れたことはたまらなく嬉しい。そんなことを考えているうちに、友人ん顔が頭に浮かんで、また虚無感と罪悪感に襲われる。

ジメジメした部屋に獣みたいな2人。広い部屋に窮屈な2人。「ずっとこれが続くといいね」なんて、ありえもしない言葉を簡単に言い放つそんな君が好きだった。いつ終わるのか。終わらないかもしれないし、明日には終わってしまうのかもしれない

今の2人の関係に名前はないし、この関係性に名前がつくこともきっとないだろう、好きな人の好きな人を抱く。最低なことしてんのに、最高な気分だからなんともいたたまれない夜になった午前4時。

さっきまで君がいた部屋。始発と共に君は去った。濡れたバスタオルと君のふかしたたばこの匂い。そして、かすかなぬくもりだけがそこに残る。1人ソファに埋もれ、友人に「ごめんな」とつぶやく午前5時。あれもこれもぜんぶ夏のせい。

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