
誰かと比べるよりも全力を尽くしたかどうかに焦点を合わせる生き方を
ずっと劣等感の塊だった。誰かと比べる必要なんてないのに、勝手に落ち込んでは、自分はまだまだだと思い知る。何をやっても上には上がいる。そう知ったのは学生時代だった。小学生のときに始めたサッカーで、周りの同級生に自分よりも上手な人はいない。中学も順調にステップアップを踏んでいく。しかし、高校に入学した途端に、周りの先輩のあまりのうまさに所詮は井の中の蛙だったと思い知らされた。
周りの人よりももっとサッカーが上手くなりたい。でも、どれだけ懸命に努力したとしても、敵わない人がいた。いつしかその人に負けないためにサッカーをするようになって、サッカー本来の楽しさを少しずつ見失っていく。周りと比べて勝手に落ち込んで、好きだったものが嫌いになりそうになる。いつしかプロになりたいという夢を諦めて、サッカーは趣味でいいという決断を下し、好きだったサッカーを嫌いになるを回避した。
人と比べて落ち込む性格は大学生はおろか大人になってからも変わらなかった。成長物語を自分で描いているうちに、大切なものが見えなくなる。一体誰と戦っているのだろうか。誰かに勝ちたいという思いが自分の全てを出し切るに変わる場合はあるけれど、本来の自分を見失ってしまう場合の方が多い。
手元にあったはずの魅力が自分の手によって、どんどんかき消されていく。いつしか個性と呼べるのかわからないような代物を磨き上げることに力を入れて、たどり着いたその先は、「あれ? 本当はここに来たかったのだろうか」と迷走するのがオチだ。周りと比べるをモチベーションにする必要はないのかもしれない。そこから生み出されるものは嫉妬や安心といった感情である。それを頑張る理由にしても、大半の人は途中で折れてしまうような気がしている。僕自身も嫉妬や安心だけでは頑張ることができない。
自分にしか書けない文章がある。それは僕という存在がこの世に一人しか存在しないことが何よりの証拠だ。だからこそ、周りと比べるのではなく、自分の全てを出し切ったかに焦点を合わせたい。そして、少しずつ自分をアップデートして、満足いくものを生み出していきたいと思う。
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