たとえ天才になれなくても

天才になれなかった。どうあがいても天才にはなれない凡人。天才という言葉で片付けてしまうのは簡単だね。天才が天才と呼ばれる所以を僕たちは知らない。

陰での努力を。陰での絶望と挫折を知らずに、天才と片付けてしまうのは可哀想なことなのかもしれない。勝手に崇められて、勝手に期待されて、勝手に失望される。天才には期待と失望の両方が常にのしかかっている。そして、いつも見えない何かと孤独に戦う運命。

凡人で良かったのかもしれない。努力が認められるのが凡人。凡人が天才に太刀打ちする唯一の手段は努力。努力をやめてしまえば、天才に対抗する術はない。そしてやがて土俵からも引き摺り下ろされる運命。

毎日の積み重ね。積み重ねたものだけが自分の自信になる。積み重ねたことがたったひとつの出来事で崩されそうになることもある。それでも崩れないようにと、懸命に必死に抵抗していく。僕は天才になれなかった。