もし、大地震が起こったら
私は阪神淡路大震災で被災しました。だから地震の怖さを知っています。それは揺れに関する怖さという意味だけではなく、その後の生活の怖さも含めて体験しています。だから危機意識がとても高いです。
今日は元・被災者の一人としてアドバイスしたいことがあります。
危機意識を持ってください。
ただそれだけです。どうすれば危機意識を持つことができるのか? そんなことは簡単です。誰でもできます。
想像する、予測する。
「もし~ならば・・・」という想像をするだけで、なにをしたらよいのか思い浮かびます。そして、予測ができたら震災に対する準備ができます。
「もし地震が来たら・・・」と想像して家や仕事場を見て危険個所を発見してください。キーワードは「落ちる」「倒れる」「割れる」です。外へ出ても同じです。車の運転時と同じように、常に危機意識を持ってください。
防災リュックをいつ使うか?
防災リュックを枕元に置いて安心される人がいます。それは確かによい事です。しかし、そのリュックはいつ使うのですか?
◎地震が来ても、命があった時です。
地震の揺れによって、命を落としていれば、防災リュックを使うことはありません。当たり前のようですが、実は大きく見落とされていることなんです。命を守ることが最優先です。
危機意識の薄い奈良市
私は数年前まで、自治会長を13年連続で努め、自治連合会にも積極的に参加しました。防災訓練の内容に関して何度も意見しましたが、まったく聞き入れてもらえませんでした。
防災訓練でバケツリレーをしています。小学校の校庭を使って、たくさんのバケツを使いプールから水を汲んで、大人数で水を運びます。
「何のためにバケツリレーをするんですか?」
「火を消すために決まってるじゃない。君はそんなことも分からないのか?」
「では、あなたの家がもし火事になっていたとしましょう。慌てて家から飛び出して応援を呼んだとします。そこへ、10人が集まったとしましょう。その時に、10人全員がバケツを持ってくるのと、全員が消火器を持ってくるのでは、どちらがいいですか?」
「そんなのバケツに決まってるじゃないか」
「では、水はどこから汲みますか?」
「私の家では防災のために必ず風呂の浴槽に水を溜めてるから、それを使うよ」
「ところで、うちにはバケツがないんですけど?」
「すぐに買っておきなさい」
「消火器よりも大事ですか?」
「当たり前じゃない! 君は何もわかってないな!」
さて、この会話を聞いてどう思われますか? これは数年前、私と防災訓練の最高責任者との会話です。
消防署からは「消火器で消せないような火であれば、逃げてください」と言われています。なのに、今の時代にバケツリレーを防災訓練で主力として行うなんて、あまりにも滑稽です。他にもまだいっぱいありました。とにかく訓練内容が昭和40年代くらいの項目です。今では変わっていると信じていますが、どうなっていることでしょう?今は未確認です。脱会したら、防災訓練の案内すら来なくなりました。それで本当に地域の防災訓練と言えるのでしょうか? あなたの町は大丈夫ですか?
避難所にはホームレスもやってくる
大震災で被災したら避難所に行くこともあります。基本的には住んでいる家のエリアの指定された避難所へ行くことになります。
そもそも全住民が入れる避難所なんてありません。ということは、早い者順だということになります。私の場合「長田区在住であれば、長田の避難所へ行ってください」と言われました。入れないから隣の区へ来たのに、そんなこと言われて追い返されたんです。
次に中央区の避難所へ行くと、ものすごい異臭がするんです。ホームレスの人でした。それを拒んでいる人がいて、もめていました。でもよく考えてみてください。以前から家がない人か、今日失ったかの違いだけです。自分たちだって、今日からホームレスになったわけです。でもそこで「住民票はどこにありますか?」という質問で、結局拒否していたのを見ました。この件については、最近では改善されていると思いますが、混乱の中ではわかりません。
救援物資が届かない!
また、避難所もしくは、指定された場所へ行かないと救援物資は基本的にもらえません。避難場所に指定されていない公園に避難しても、物資は届きません。行政が指定したところだけです。周りの公園に看板が立っていますから確認してくださいね。
3.11の東日本大震災では帰宅困難者が多く出ましたよね。震災は家にいる時に来るとは限りません。どこで遭うかまったく分かりませんから、常に危機意識、予測、準備が必要だと思います。
喉元過ぎれば・・・ではなく、地震大国日本ですから、「備えあれば患いなし」です。物だけでなく、ノウハウも備えてくださいね。被災した名もない一個人からの要望です。