バロック時代における鍵盤技術、運指法、装飾音Part3
前回の続きからです。
バロック音楽の装飾音は右手の場合2と3、3と4の指で弾かれ、左手は1と2、2と3が使われていたらしいです。
つまり右手は人差し指と中指で演奏する場合と、中指と薬指で演奏するという2パターンに分かれており、左手に関しては親指と人差し指、または人差し指と中指で演奏されていたということになります。
親指の使用は上行音階や左手の下行音階やオクターヴを演奏するときが多く、ピアノでいう黒鍵に当たる部分の鍵盤は2、3、4の指に限られていたようです。
小指はもっと使われていなかったみたいで、先程のオクターヴや和音を演奏する時など大きな音程を演奏する際に使われるぐらいであったらしいです。
そして装飾音は常に拍点上で始まっていたみたいです。必ず拍の頭でトリルやモルデントが演奏され決して自由に装飾していいものではなかったようです。
前にもどこかで述べましたが、フランス様式のトリルは上の音から始まります。楽譜に記載されている音からスタートするのではなくその全音上、または半音上からスタートするのです。
これはフランス人作曲家に限った話ではなく、他国の作曲家でもフランス様式を求めている作品には、この法則を適応すべきだと思います。
ジャン・アンリ・タングルベール(1629~1691)やフランソワ・クープラン(1668~1733)などは装飾音に対して色々と述べているので、これらを研究することはフランス様式の作品に対して良いアプローチをおくることができるでしょう。
反対にイタリア様式ではトリルは上の音からではなく楽譜に記載されている音から始まります。このように各国のトリルの演奏法の違いを理解しておけば、バロック音楽の解釈がより深くなると思います。
皆様の応援の力が励みになります。コンテンツの充実化に努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。