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バロック時代における鍵盤技術、運指法、装飾音

バロック時代における鍵盤楽器の技術、運指法、装飾音においては様々な文献が見受けられます。

ドイツの作曲家であり、音楽理論家でもあったフリードリヒ・ヴィルヘルム・マールプルク(1718~1795)という人物は著書である『クラヴサンの原理』(1756)において以下のように述べています。

指の位置は、多くの演奏家が考えるほど気ままなものではない。複数の運指方が可能なパッセージもあることは確かだ。しかし、そのパッセージにはもっとも適した運指法というものが常に存在する。・・・・・・だからいつも良好な位置のどれかを選ばなければいけない。そしてその場合、いくつもの可能性の中で最も動きの少ないものを選ばなければいけない。

『クラヴサンの原理』(1756)

当時は動きをできるだけ抑えるという原則が重要だと考えられていたようです。J・S・バッハ(1685~1750)は息子たちの証言によると、指の動きはたいへん滑らかで小さなものであったみたいです。

私もピアノを弾くが、たしかに正しくない運指法を選んでしまった場合、手の動きに無駄が発生してしまうように思います。

それは指の構造上負荷の多い運指をしてしまうと、余計な力が入りがちになる。練習次第では弾けるようになるだろうが、ミスをする確率が高くなってしまう。

そうしないためにも常に正しい運指を探し採用することが重要だと思う。
正しい運指をすることで、手の動きが最小限に抑えられ無駄な力が入りにくくなる。そうすればミスをする確率も低く抑えられると感じています。

昔自分がバッハパルティータ第6番BWV830コッレンテを練習する際に特定の部分だけつまずいてしまう場面がありました。そこで一から運指を考えて練習すると、その部分が弾けるようになりました。

赤文字で数字を書いた部分が躓いてしまった部分。一から運指を見直すことによって演奏できるようになった。

その運指を見つけるまでに時間はかかりますが、闇雲に練習するよりはいいと思いました。この運指で弾くと手の動きが最小限になったような気がします。

ただ素人意見なのでこれよりももっとよい運指法があるかもしれませんが・・・

この時代の音楽家たちは常に正しい手の位置を探すことに時間をかけていたみたいです。

手と指はあまり収縮せずに鍵盤上を移動する、手の動きは常に左右で、鍵盤と平行でしていること、かつその動きはできるだけ手首からの、必要な場合は肘からの最小限の動きであることが求められていたみたいです。

これらはバロック音楽のみに限らず現代にも通用する事柄だと思います。どの楽器でもそうですが、無駄な動きがあると演奏のパフォーマンスが低下します。約400年前から演奏姿勢に対して議論され、その確固たるものを築き上げてきたわけですから、私たちはそれに沿って練習すべきなのではないかと思います。



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Ryo Sasaki
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