【読書】『人外サーカス』と『ネフィリム』を読みました
小林泰三氏の小説を初めて読みました。
たまたま『人外サーカス』の文庫化にあたりまして、名前をよく聞くけれど読んだことはなかったので、手に取ってみたのがきっかけです。
人外サーカス
サーカス団が吸血鬼たちに襲われるが、アクロバットや猛獣使いのサーカス団員たちが命懸けの反撃を試みる……。
いい意味でのB級ホラーです。
個人的にはものすごく好みですが、グロテスクな描写も多々あるので、人によっては読めないかも?
吸血鬼が狼や蝙蝠に変身するというのはオーソドックスな設定ですが、かなりの生命力を持つというところはちょっと個性的でしょうか(詳しく説明するとグロ表現になりかねないので省略)。
いきなり襲われた団員たちは、どうやったら相手を倒せるかも解らない中で、命懸けで戦います。
ただ単なるB級に終わらない、ちょっとしたトリックがあるのもお楽しみです。
ネフィリム 超吸血幻想譚
最強の吸血鬼ヨブは、たまたま助けた少女ミカとの約束で、血を吸うことをやめた。そのために力を失ったところに、最強の敵が襲ってくる。そこに、吸血鬼に妻子を殺され、吸血鬼殺戮組織に入隊したランドルフが絡んでくる。
こちらは『人外サーカス』の前日譚になっています。『人外サーカス』の後ろにあった書籍紹介で知りました。
版元売り切れなので手に入らないかと諦めていましたが、たまたま入ったブック・オフにあったのでラッキーでした。電子書籍になっているし、紙の本も古本で入手可能のようなので、気になる方は探してください。
これも『人外サーカス』同様、いい意味でのB級アクションホラーです。こっちの方がグロ度は強いかもしれません。
謎の少女に、マッド・サイエンティストも出てきて、ワクワクします。でも、戦いが終わっても謎は残ったままという、残念なラストになっています。
サブタイトルに「超幻想吸血譚」とあるように、シリーズとして書く予定だったのでは、と想像されます。ところがどういう事情か、続きは書かれていません。『人外サーカス』は番外編みたいな形で、『ネフィリム』で残された伏線は、一切回収されていませんでした。
続きを読みたいのは山々ですが、残念なことに作者の小林泰三氏は2020年11月に逝去されてしまいました。
本当に残念です。
誰か、残された資料を元にして、続きを書いてくれないかな。