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僕たちは今、恋人や家族、会社や地域との「適切な距離感」を模索し続ける時代に、生きている。
昨日から今日にかけて、宇野常寛さんの話題の新書『遅いインターネット』を読みました。なかなか噛み応えのある書籍で、理解しながら読もうとするとかなり咀嚼を要するのですが、たいへん多くの示唆を与えてくれる素敵な一冊だと感じました。
この本の中で、戦後の偉大な思想家・吉本隆明さんの『共同幻想論』が引用されていたのですが、この内容がなかなか興味深かったです。
共同幻想論によると、人間がこの世界を認識するためには3つの幻想が機能しているといいます。それは、
1. 自己幻想(≒ プロフィール)
2. 対幻想 (≒ メッセンジャー)
3. 共同幻想(≒ タイムライン)
の3つであり、宇野さんは「この三幻想はインターネット(とりわけSNS)の基本構造と合致している」と指摘しています。
つまり、極端に言い換えれば、
自己幻想(自己像)の肥大した人間は Facebook で依存して常にリア充アピールを繰り返し、対幻想(1対1の関係性)に依存する人間は対象となる人物との LINE に執着していつでも既読マークを気にしながら生活を送り、共同幻想(集団が共有するナニカ)に同化する人々は Twitter に粘着してタイムラインの潮目を読んで生き続けている
というわけ。言い得て妙、かなり納得感のある指摘だと感じました。
さらに、現代は SNS によって「三幻想を自己幻想に一体化させながら肥大している」とも言えて、宇野さんは、「この現象が続くと僕たちは幻想から自立して真の意味での自由を手に入れられなくなってしまう」と説を唱え、
だからこそ、自己幻想の肥大を抑制することがいま求められており、そのために必要なのが【遅いインターネット】である、と綴っています。
(僕の要約力が足りずに説明がわかりにくいかもしれません。自覚もしてますが、現時点ではこの要約が僕の限界です)
✳︎
これらの内容がグッと腹落ちしたのは、下記の文章を読んだときでした。
自己幻想の肥大を抑制すること。対幻想に対しても、共同幻想に対しても適切な進入角度と距離感を常に調節し続けること。世界に対して調和的に関係し続けることが、いま求められているのだ。(引用:p.179)
つまり、これはまさに、昨今の「事実婚ブーム」「複業ブーム」「関係人口ブーム」「オンラインサロンブーム」の根本に流れる思想的な動機だなと。
夫婦(対幻想)の適切な距離感を模索する策のひとつが「事実婚ブーム」
会社との関係(共同幻想)の適切な距離感を模索しているのが「複業ブーム」
地域間(共同幻想)での適切な距離感を模索する一手が「関係人口ブーム」
コミュニティ内(共同幻想)の適切な距離感を模索し続けている解のひとつが「オンラインサロンブーム」
話は急に変わりますが、今朝あかしゆかさんが更新した「サイボウズ退職エントリ」の中で、『会社員ではない距離感のカタチがある』という言葉が書かれていましたが、これもまさに共同幻想に対する適切な距離感の話だなあと思います。
【サイボウズを退職します】
— あかしゆか (@akyska) March 9, 2020
5年間働いたサイボウズを離れ、フリーの編集者・ライターになります!
なぜ自由で働きやすい最高な職場を離れるのか、その理由について、サイボウズ式で最後にコラムを書きました。
会社員としてのあり方を模索した5年間だったな。https://t.co/kuNmv0Q1Mv
この流れはもう抗えない。
というか、物心のついた頃にはインターネットが存在していたネットネイティブ世代にとっては、あらゆる幻想に対して「適切な距離感」を模索し続けることは、息をするように当たり前の感覚なのかもしれません。
でも、そんな画一的な正しさの壁が溶けてしまった世界を、僕らはもうすでに生きていて、誰にとっても正しい答えなど当然のごとく存在せず、自分で適切な距離感と接し方を永遠に定義し続けなければいけない時代に、いつの間にか突入していたのは間違いありません。
そのために必要なモノを、宇野さんは【遅いインターネット】と捉えたようですが、それすらも正しいかどうかは自分で判断しなければいけない。
誰かにとっての正解はソコにあるのかもしれないけど、それが君にとって(そして僕にとって)適切かどうかは別の話であり、誰かの仮説に相乗りするだけではいつまで経っても幻想の世界でしか生きられない。
自分自身を知り、目の前の相手を知ろうとし、社会の本質を直視しようとする。結局はその繰り返しの中でしか、僕らはあらゆる幻想に適切な距離感と接し方を模索し続けないといけないのだろうなと。
良い意味で、生きにくい世の中だと思います。
悪い意味で、生きやすい世界だったと思います。
だから、僕は僕のために、毎日 note を更新し続けよう。きっとそれが、僕にとっての適切な距離感の測り方だから。
- - - ✂︎ - - -
というわけで、今日の記事は以上です。
途中から眠すぎて何を言いたくて文章を綴っているのかわからなくなりました。明日の朝に読み返して恥ずかしくなるやつですきっと。
では、またあした〜!
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